最大の問題は、このミュールが日本の公道を走れないことである。しかしモリタではナンバー取得を目指し、まずカテゴリーを検討した。一般的な消防自動車は8ナンバーの特種用途自動車となっているが、今回は大型特殊自動車のダンパというカテゴリーで登録することにした。
そのままでは保安基準を通らないので、ブレーキ、ウインドーガラス、排出ガス、電装など、さまざまな部分を作り直しており、ナンバーを取るまで半年かかったという。それでも登録が実現したのは、社会貢献という理由が国土交通省から認められたことが大きく、レジャー用では難しいのではないかと語っていた。
小さいながらも頼り甲斐のあるデザイン
このレッドレディバグを取材すべく、筆者は工場のある兵庫県三田市を訪れた。
全長10m以上の長大なはしご車の脇に置かれていたこともあって、ボディは小さい。でも存在感では負けていない。ミュールのフロントマスクを生かし、その造形に合ったドアやリアボックスを融合させており、小さいながらも頼り甲斐のあるデザインに仕上がっていた。
ドアは大きく開き、フロアは低く平らなので乗り降りは楽だ。インパネはミュールと基本的に共通で、サイレン制御ボックス、ウインカーインジケーター、ダンパ登録で必要となる車輪ロックレバーなどを追加している。センターにあるメーターはコンパクトな液晶パネルだ。2WD/4WD切り替えはスイッチ方式になっており、新型でレバー方式に戻したジムニーとの思想の違いを感じる。
3人掛けのベンチシートは固定されており、ステアリングの調節機構もない。エアコンはなくウインドスクリーン上方のダクトやスライド式サイドウインドーで走行風を取り入れることになる。短距離移動を念頭に置いているようだ。
装備を含めた車両総重量は1485kgに達するが、セレクターレバーをDレンジに入れ走り出すと、モーターサイクルを思わせる活発なサウンドを響かせながら元気に加速していく。ギア比は低めだが60km/hぐらいまでは一気に伸びる。Lレンジに切り替えると減速比が大きくなり、低速での不整地走行に向いていることが伝わってきた。4WDに切り替えると4輪で確実に前進していくことが伝わってきた。
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