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ジムニーとタメ張る悪路最強「消防車」の正体 モリタが開発、高い走破性で駆け抜ける

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  • 森口 将之 モビリティジャーナリスト
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その結果選ばれたのが、川崎重工業が北米などの海外向けに生産している多用途4輪車「ミュール(MULE)」である。ミュールはMulti-Use Light Equipmentの略であり、その性能は作業からレジャーまでさまざまな用途で評価されている。ジムニーに近い立ち位置の車両と言える。

不整地走行性能もジムニーを上回る

モリタが候補に挙げた十数車種の中には、ジムニーも入っていた。しかし積載能力が小さいことがネックだったという。新型ジムニーは乗用車仕様のみで積載重量に限りがあるのに対し、ミュールは450kgまで積むことが可能だった。さらに不整地走行性能もジムニーを上回るという判断だった。

海外メーカーの製品も考えたが、信頼性の面で日本企業を重視し、川崎重工のミュールを選んだ。ミュールには20以上のバリエーションがあるが、モリタが選んだのはPRO-FX(EPS)という仕様だった。EPSは電動パワーステアリング付きであることを示す。

ラダーフレームを持つことはジムニーと同じだが、サスペンションはリジッドのジムニーとは対照的に、前後ともダブルウィッシュボーンの独立懸架になる。最低地上高は260mmで、ジムニーの200mmを大きく凌ぐ。

エンジンは水冷直列3気筒800cc自然吸気で、CVTを組み合わせる。最高出力は35kW/5500rpm、最大トルクは65Nm/3500rpmだ。駆動方式は2WD/4WD切り替えで、リアデフにロック機構も備わる。ミュールはこのエンジン/トランスミッションを後輪直前に搭載している。つまりミッドシップだ。よってノーズが短く積載空間の広いパッケージングが実現できた。

レッドレディバグの後ろ姿(筆者撮影)
後部ユニット内装備は簡単に引き出し可能(筆者撮影)

ボディは全長約3450mm、全幅約1760mmで、幅は3ナンバーサイズになるが長さはジムニーに近い。このサイズに収めるべく、レッドレディバグは独創的な設計を取り入れている。活動現場の状況に合わせて、後部ユニットを選んで搭載できることだ。アルミ製ユニットの重量は110kgで、スライドレールを内蔵しているので専用台車を用意すれば大人1人で交換できる。

多くの装備を1台に詰め込めれば理想だが、それでは車体が大きくなってしまうし、現場では小ささが求められていた。そこでモリタはユニット方式という逆転の発想を取り入れたという。また車体が短いことから、全長12m以下であればトレーラーを牽引することで装備を追加することもできる。

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【ミュールは日本の公道を走れない】

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