韓国が作る「北朝鮮美女図鑑」の驚くべき中身 キレイなお姉さんが色々と教えてくれる?
とはいえ聯合ニュースとJTBCテレビは、朝鮮新報と契約を結んだ上で「人気少女」の映像を利用しているわけではない。北朝鮮ニュースが電子メールで朝鮮新報に問い合わせたところ、動画は「許可なくアップロード」されたものであり、「早急に削除されることを強く要望する」とのコメントが返ってきた。「動画が削除されない場合には、ユーチューブに通報するつもりだ」(朝鮮新報)。
北朝鮮ニュースは聯合ニュースにも質問を送ったが、本稿締め切りまでに回答はなかった。(編集注:「NKシグナル」はその後、ユーチューブから削除されたもよう)。
「NKシグナル」の制作陣は「人気少女」の映像にかなり大胆に手を入れている。たとえば、「北朝鮮美女が降臨」との宣伝文句がつけられたエピソードには、韓流リアリティ番組でよく見かけるチープな編集技巧が満載されている。スローモーション、ロマンチックなピアノ曲、ド派手に盛られたテロップは、韓国恋愛バラエティ番組の定番だ。
韓国チャンネルAで放送されている超人気リアリティ番組「ハートシグナル」を見たことがある人なら、「NKシグナル」が「ハートシグナル」と似ていることに気づくはずだ。「ハートシグナル」は、ソウル在住のおしゃれな男女が恋愛の駆け引きを繰り広げる番組で、誰と誰がくっつくかをゲストの有名人が予想し合う。
「南男北女」という見方が改めて見直されている
「NKシグナル」の制作現場に通じたある人物は、「NKシグナル」が「ハートシグナル」に似ているのは偶然ではなく、意図的に狙ったものだと証言する。この人物は、このような奇妙なプロジェクトに税金を投入することに対して若干の皮肉を加えたつもりだ、とも付け加え、匿名を条件に次のように語った。
「制作チームは北朝鮮メディアの映像を使って『ハートシグナル』のパロディを作ろうとしていた。これは間違いない」
韓国には「南男北女」という決まり文句がある。北朝鮮の女性は美人で、韓国の男性はハンサムという故事だが、今年に入ってから、このような見方があらためて支持を集めている。北朝鮮の美人歌手、玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏や「美女応援団」が平昌冬季五輪をきっかけに訪韓したとき大量のメディア報道が行われ、これによって火がついた格好だ。上智大学のサンドラ・ファヒー准教授(文化人類学)は、「NKシグナル」には、北朝鮮女性に対する韓国側の妄想が表れていると話す。
「動画の関心は女性に偏っていて、(編集のテイストも)恐ろしくフェミニン。字幕はピンク色だし、音楽もソフト。インタビューするのも、されるのも女性だけ」(ファヒー氏)
確かに「NKシグナル」は女性に過度にフォーカスしているので、これを異様と感じる視聴者もいるだろう。しかし一方では、このような動画は高齢の韓国人にとっては何ら違和感を抱かせるものではないと指摘する専門家もいる。