オバマ大統領時代の相場を占う-カギを握る財務長官人事、ガイトナー、タイソン、サマーズ、バフェットなら安心だが、ボルカーだと…

 やや長めで見るべく、過去を振り返ろう。1990年11月6日以降の米議会・米大統領選挙を見ると、今回同様、大統領選と議会選挙で民主党が勝利した1992年11月3日の時は11月末にかけて株高となり(12月末にかけちょっと下落)、米ドル高(12月末にかけても米ドル高)であった。総じて大統領選後は株高&米ドル高であり、株安&米ドル安は共和党が大統領と議会選挙で勝利した場合に多かった。

 もっと長めで見るべく、株式や為替の市場にとって極めて大事な財務長官を考えよう。2009年1月20日に大統領と共に就任する新しい財務長官であるが、2008年10月3日に成立した金融安定化法は、財務長官率いる財務省に大きな権限を与えた。銀行などに対し、問題のある資産の買い取り、保証の提供、資本注入に向けた広範かつ柔軟な権限を与えている。必要であれば財務省が銀行を保有する立場を得ることも可能とされる。その意味でこれまで言う以上に、ポールソン長官(第74代米財務長官)の後任への関心は強い。市場にはポールソン長官がこの金融危機の最中に退任する事への懸念もあるが、既にポールソンは2009年1月以降に財務長官にとどまるつもりはないと言っており、10月15日には「新財務長官が誰であれその長官と協力する。引き継ぎは非常にうまくいくだろう。」ともコメントしている。

 第75代米財務長官候補だが、6月30日付ロイターや7月21日付NYタイムズ紙は、NY連銀のティモシー・ガイトナー総裁、カリフォルニア大学バークレー校のローラ・タイソン教授、ハーバード大学のローレンス H.サマーズ教授を挙げていた。またオバマ氏自身は10月7日の大統領候補討論会で次期財務長官候補としてウォーレン・バフェット氏が「かなり良い選択になる」と述べ、10月31日のCNNテレビでオバマ陣営の経済顧問を務める元FRB(連邦準備制度理事会議長のポール・ボルカー氏、サマーズ教授、そしてバフェット氏の名前を挙げていた。

 どうだろう?ガイトナー総裁もタイソン教授もサマーズ教授も、「ゴルディロックス」のクリントン政権時代の高官であり、市場も安心であろう。バフェット氏はあまりに著名な株式投資家であって、株式市場は特に安心する。バフェット氏は10月17日(金)付NYタイムズ紙で次の様に発言し、株式市場を喜ばしていた。「米国株を買い増している。割安な株価水準が続けば、会長を務める保険・投資会社バークシャー・ハサウェイの投資とは別の同氏個人の投資ポートフォリオは近く、米株のみになる見込みだ。皆が貪欲(どんよく)になっている時は心配性に、皆が心配性になっている時には貪欲に、と言う原則に従っている。多くの健全な米企業の長期的な成長力に対する過大な懸念は愚かしい。数年後には多くの企業が最高益を出しているだろう。目先の動きを予想する事は出来ないものの、相場は景気や一般的な投資マインドよりも先に回復する可能性が高い。駒鳥がやってくるのを待っていたら春が行ってしまう。1930年代の大恐慌の時、ダウ工業株30種平均は1932年7月8日に底を打ったが、景気悪化は1933年にフランクリン・ルーズベルト氏が大統領に就任するまで続いた。しかしその時までに相場は30%上昇していた。悪いニュースは投資家の最良の友だ。米国の未来の一かけらを、引き下げられた評価額で買うことができる」

 問題はボルカー氏である。元FRB(連邦準備制度理事会)議長(1979年8月~1987年8月)であるが、彼の在任中において米FF金利を20%(1980年3月、1980年12月・1981年1月、1981年5月)まで上げた超タカ派(利上げ志向派)であり、1981年7月~1982年11月の景気後退が起き、ボルカー議長の就任前半において、米国株式は低迷した。そして米ドルは199.05円(1981年1月5日)~277.65円(1982年11月4日)の間を乱高下し、1986年以降、米ドル急落となる。もしかしたら、11月5日のNYダウ安はボルカー氏のシナリオを織り込んだ可能性はある。いずにれにしろ、財務長官人事は要注目である。

 なお、オバマ民主党政権については、6月6日付「CHANGE! オバマ大統領誕生なら、日本株は08年、09年と上昇へ」を参照してほしい。これはオバマ氏つまり民主党の大統領が誕生したと仮定して、経済、産業、株、債券、為替への影響を考えたものだ。




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