豪雨の「水没リスク」、都内地下駅の対策は? 東京には浸水しやすい駅が至る所に存在する

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このほか、地下部分にも数カ所、トンネルの全断面を閉鎖し他の区間を水から守るトンネル内防水ゲートも設置されている。

トンネルを封鎖し被害の拡大を防ぐ防水ゲート(写真:東京メトロ)

水害の危険が高まってきた時、鉄道会社の対応としては、運行を停止し、乗客を駅や電車から避難誘導して駅の地上出入口・換気口を閉鎖(止水板、防水扉、浸水防止機)する。

一方、万一の場合浸水が想定される区間を運行中だった車両や同様の車庫(千住、綾瀬、上野などの検車区)の車両を、地下の線路標高が高い区間へと避難させるために動かす必要も出てくる。その後、通電停止、坑口防水ゲート閉鎖となるので、そのための時間も必要となる。早めの初動判断のタイミングが重要になってくる。

日常から水害への備えを

こうした災害への対応は、関係機関の連携が必要なのは言うまでもない。気象庁、国土交通省荒川下流河川事務所、東京都、埼玉県、各区などの担当セクションによる「荒川下流を対象としたタイムライン(事前防災行動計画)専門部会」が設けられている。

防災における「タイムライン」とは聞き慣れない言葉だが、2012年にアメリカを襲ったハリケーン・サンディに対してニュージャージ州で活用され効果を発揮し話題となったツールである。台風来襲等への防災行動を、準備に要する時間も考慮してあらかじめ時系列的に整理しておくことにより、実際の災害時、逼迫した中で防災行動を効率的かつ効果的に行うことを目指す。

台風来襲時などに、台風や河川の状況が、作成済みのタイムラインのどのレベルにあたるかをふまえて情報を共有しながら対応する。現在、荒川下流タイムラインの拡大試行版が運用されている。

対策は進んでいるが、災害時、想定外のことも起こりうる。また、今回の浸水想定はあくまで荒川氾濫時のもので、他の豪雨では、ランキング外の場所でも浸水が起きる。日頃からさまざまな情報に接し、いざという時に冷静で的確な行動がとれるように備えておきたい。

内田 宗治 フリーライター、地形散歩ライター

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うちだ むねはる / Muneharu Uchida

主な著書に、『地形と歴史で読み解く 鉄道と街道の深い関係 東京周辺』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)、『関東大震災と鉄道』(新潮社)など多数。外国人の日本旅行、地震・津波・洪水と鉄道防災のジャンルでも活動中。

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