日本政府が現金払いを減らしたい納得のワケ 「1万円札」と「テロ組織」の意外な関係
すでに2000年にはカナダが千カナダ・ドル(約8万円)紙幣の発行を停止し、2013年にはスウェーデンが千クローナ(約1万2000円)を廃止し、イギリスが500ユーロ(約6万5000円)の取り扱いを禁止した。500ユーロについてはEUが2018年中に発行を停止するという報道もある。
アジアでも2014年にシンガポールが1万シンガポール・ドルの発行を停止した。2016年にはインド政府が千ルピーと500ルピー紙幣の廃止を突然宣言し、話題になったことは記憶に新しい。
こうして高額紙幣が次々と姿を消していき、残るのは香港の千香港ドル、アメリカの100ドル、EUの200ユーロ紙幣くらいとなり、日本の1万円札の廃止説まで出ている。いまのところあくまで噂にすぎないが、高額紙幣、ひいては現金に対する風当たりが強くなっているのは間違いない。
政府の本音は“税金の取りっぱぐれ”をなくしたい
第4は、お金の流れをきちんと捕捉して、徴税を徹底したいということ。言い方は悪いが、できるだけ税の取りっぱぐれがないようにしたいと考えるのは、国や役所の立場からすれば当然のことではある。
現金は匿名性が高い。つまり誰が持ち主かわかりにくい。動きを把握することも難しい。そのため、脱税を許したり、麻薬や違法賭博の取引に使われたりすることにつながる。それに対して電子マネーや電子決済は記録が残るので管理しやすく、監視も可能だ。その結果、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪を防ぐことができる。
政府にとってキャッシュレス化はこの4つの大きなメリットがあるのだ。
それはある意味で、政府がキャッシュレスを通じて国民を管理・コントロールしようとしているとも言える。その意味ではキャッシュレス化には十分注意が必要だ。
具体的には、個人情報、信用情報、返済情報などが、政府や企業に集まるようになっていく。情報の集中はキャッシュレス時代にある程度覚悟しなければならない。しかし欧州のGDPR(EU一般データ保護規則)のような個人情報保護法の影響で、日本でも個人情報に関する意識が高まれば、渡してもよい個人情報と渡してはいけない個人情報を各自が選別するようになるだろう。情報は自分で管理し守ろうという時代になっていく。
その一方で、キャッシュレスには、ポイントや割引、それにクーポンといったインセンティブが付いてくるのがメリットだ。同じ買い物をするなら、現金よりもキャッシュレスのほうが断然得をする仕組みになってくる。この傾向は今後ますます広がっていくだろう。これらの点をよく踏まえながら、各自が賢くキャッシュレスに対応していく必要がある。
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