日本政府が現金払いを減らしたい納得のワケ

「1万円札」と「テロ組織」の意外な関係

こうしてまさに官民一体となったキャッシュレス化が推進されている。これによって、クレジットカードの取扱高や決済比率、電子マネーの決済金額、件数が増え、経済が活性化すると期待されているのだ。

「1万円札の廃止」がテロ対策につながる

第2は、現金のハンドリングコストの削減だ。紙幣にしても硬貨にしても、貨幣をつくって保管し流通させるには膨大なコストがかかる。国だけではなく企業にとってもそのためのコストはバカにならない。

日本の貨幣(銀行券)の1年あたりの製造コストは日銀によると約517億円だという。

また、われわれ国民は、稼いだお金をほとんど銀行のATMから引き出して使っている。銀行のATMは、信用金庫やセブン銀行、イオン銀行などを含めると全国で約20万台ある。

ボストン・コンサルティング・グループの推計によると、このATMの維持管理費に、現金の運搬にかかる人件費などを加えると、年間2兆円にものぼるといわれる。キャッシュレス化によって、この官民にかかる負担を軽減したいというわけだ。

第3は、犯罪抑止という観点から、現金の中でもダークマネー化する比率の高い高額紙幣を廃止しようという案が出ている。

2017年の日本の名目GDPは約546兆5000億円だった。このGDP比で現金がどれだけ流通しているかを調べたデータがある。それによると、日本は20.5%であるのに対して中国は9.7%、アメリカは8.3%、スウェーデンにいたっては1.3%でしかない(東短リサーチ調べ)。

ということは、日本では、GDP比で見ると外国に比べて一桁多い約112兆円の現金が流通していることになる。

このお金が脱税や違法行為にどれだけ使われているのかはわからないが、お金が民間消費を中心とした正しい経済活動に使われなければ景気は悪くなる。

しかも、日本では流通している紙幣総額の9割近くを1万円札が占めており、このことが国際社会で問題視されている。

1万円札などのような高額紙幣が、脱税や麻薬、武器の密売、贈収賄、売春などのいわゆる地下経済を支えるダークマネーになっているためだ。特に欧米では、テロ組織への資金提供やマネーロンダリングに高額紙幣が使われていることを重視している。つまり、テロ対策の一環として高額紙幣の廃止が浮上しているのだ。

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