「アウトレット」はなぜいつも混んでいるのか 活況を呈する館に流れていった百貨店顧客

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最近OPENしたイオンが展開する「THE OUTLETS HIROSHIMA」は、飲食比率が低く、内接するイオンでカバーしています。

これは、神戸三田プレミアム・アウトレットと道路を挟んだオーバーブリッジのイオンモール神戸北(SC)の横連携を自社内で縦連携に置き換えたもので、お互いの補完が偶然できていたコピーともいえるでしょう。

本来はアウトレット単体でのワンストップショッピングであってほしいのですが、同じグループ内での補完は相乗効果を生み出します。

上記の神戸北は平日でも軽乗用車などで駐車場が埋まっており、食品の買い物客で安定しています。「THE OUTLET HIROSHIMA」もそうなることを期待します。

また、三井アウトレットパーク 北陸小矢部(富山、2015年7月開業)も、北陸初のアウトレットです。

三井アウトレットパーク 北陸小矢部の外観(筆者撮影)

周りに何もない最寄駅(石動)からバスでわずか9分のところにあります。館の内容(ショップ)自体はラグジュアリーとべーシックのバランスもこの地域に合わせられています。

ですが、筆者の印象では、外観は米国の砂漠の中にあるアウトレットのような派手な配色であり、海老名駅前のSCのようです。

このように活況を呈してるというアウトレットでさえ、修正箇所が散見され、改修することにより、大きな売り上げも見込めます。もちろん、館を造る前にやるべきではないことがわかっているケースも多く見受けられ、まだまだ伸びしろがあります。

お金を支払っているのは地域のお客様であり、“小売業はお客様との心理戦”(前セブン&アイHD代表取締役会長の鈴木敏文氏の言葉)なのです。

道義を優先すれば、利益は後からついてくる

売り上げはお客様の評価バロメーターであり、営業利益額や利益率は経営者への評価バロメーターです。

売り上げが伸びても利益額の取れない企業が多いのも実態です。利益率も小売業平均は他業種と比べても現状低いのです。他業界も参考にしながら、高収益に向かっていただきたいのです。儲けないと小売業の本質である「先義後利」の継続ができないからなのです。

売り場以外にはヒントとマネーが落ちていないのですから、常に現場でヒントや気付きを見つける知力と、それを拾う体力を身につけることが企業を維持向上させていく重要なファクターなのです。

マーケティング力とマーチャンダイジング力、プロモーション力、そしてマネージメント力のバランスのいい経営力が必要といえるでしょう。

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生地 雅之 オチマーケティングオフィス代表
おち まさゆき / Masayuki Ochi

1952年生まれ。龍谷大学法学部卒業。総合アパレル企業の商品企画生産、ブランド開発、マーケティングなどを担当。取締役営業責任者を経て、2003年9月にオチマーケティングオフィス設立。小売り・アパレル等の経営コンサルティングを経営戦略から実施し、企画、営業、販売の現場を中心に営業利益の改革・改善を提案している。公式HPはこちら​。

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