「アウトレット」はなぜいつも混んでいるのか 活況を呈する館に流れていった百貨店顧客
またアウトレットでは最近ファッションビル系(FB)のルミネやパルコなどに出店するブランドや、SCブランド(FBとSCは顧客層が異なる)のお店まで出店しています。前出のラグジュアリーブランドを求める顧客層とはまったく一線を画した顧客層もアウトレットが取り込んでいます。
これはFBやSC内に出店するお店に魅力を感じなくなってきていることと同義であり、上記SCが低迷しつつあることの表れともいえます。
インバウンドにとってのアウトレットとは
片や年々増加するインバウンド層の動きも顕著です。今まで訪日中国人を中心に百貨店でラグジュアリーブランドなどを購入してきたインバウンド顧客層はそのままでも、ビザの緩和やLCC(格安航空会社)の就航などもあり、その下の中間層までが来日してきています。
百貨店で購入できるのは化粧品のみという人たちが、衣服はアウトレットで購入する動きも見られます。これまで彼らは日用品等の購入については、街中のドラッグストアで購入していました。それが、今やアウトレットの中にマツモトキヨシが出店しているくらいなのです。
三井アウトレットパーク入間や幕張などですが、アウトレットだからと言って格段に安くはありません。このような出店戦略は、インバウンドのお客様にとって利便性のある買い物ができることを意識しているのです。
最初から訪日外国人が増加するからと期待するのではなく、誰が・どのような属性の人が来日されるのかが重要なのです。
アウトレット内でのワンストップショッピングで済ませられるので、観光がメインになっても不思議ではありません。これからのアウトレットは、ファッションのみではなく、食・住にまでテイスト軸を持った編集能力も期待されます。特に飲食を増加させ、1日楽しめる館にすることも重要でしょう。
アウトレットでこのようなことまで対応できているのなら、百貨店やGMSももっと顧客に寄り添うことが望まれているのです。現在百貨店の化粧品も伸びてはいますが、中間層向けの化粧品店が今以上にアウトレットに出店されれば、現在の伸びは鈍化することは目に見えています。これからは、日本の百貨店に憧れて来る人を定着させ、他のカテゴリーにまで広げる顧客対応が必要不可欠でしょう。