「カメラを止めるな!」はなぜシェアされるか

社会人に共感呼ぶ痛快さが盛り込まれている

通常のヒット映画が広がる過程では、テレビCMを含む予告編や映画レビューサイトでの評判をきっかけに見に行くことが多い。

しかしこの映画、ツイッター、フェイスブックやインスタグラムなど、SNSでの「感染力」がとにかくすごい。発端は有名人による紹介だったようだが、今では一般人もSNSで、どんどんシェアしている。筆者自身、SNSのタイムラインで最近見かけない日はないぐらいだ。周囲の知人・友人に聞いても同じだ。普段は映画の感想をシェアしない人まで紹介しているのが、『カメラを止めるな!』で起こっている現象の特徴である。筆者もSNSの影響で1週間という短期間に2回鑑賞することになった。

大規模な宣伝活動を起点にするのではなく、周囲の信頼し、懇意にしている友人・知人のお薦めというお墨付きを得た口コミ効果によるヒットは、今の時代ならではといえる。それにしても、なぜ、この映画を見た人が軒並み、これほど周囲の人に薦めたくなるのか。

特に初期の頃は、上映映画館が少なく、なかなかチケットが買えない、観られないという希少性も影響しただろう。加えて、シェアされているにもかかわらず、映画の内容を詳しく記す人は少ない。実際に「見てもらいたいからネタバレはもったいない」と思うからだろう。どんな映画か想像もつかないミステリー感がある。

ここからはネタバレを含むので、これから観る予定のある方はご注意いただきたい。基本的には本編を見た読者を対象としているものの、それでも詳しいあらすじについては、なるべく触れないでおく。

ちなみに、これから観に行く人にアドバイス。『カメラを止めるな!』を最大限楽しむのであれば、単館系等、ミニシアターで観ることをお薦めする。お酒をどんなグラスで飲むかによって味わいが変わることと同じで、本映画は圧倒的にミニシアターで観ることにより観客の一体感等が増し、良さが引き立つからだ。

スカッと痛快な気持ちにさせるポイント3つ

『カメラを止めるな!』の映画の面白さは直球で、序盤の意外な始まりから転じた中盤・終盤でどんどん伏線回収していくところにある。これに加えて、観客、特にメインターゲットであろう一般の社会人が共感、それもスカッと痛快な気持ちにさせられるポイントが3つある。

まずは、「勧善懲悪」だ。映画やドラマでは定番。悪役を懲らしめるところで、観るほうがスカッとする。といっても、『カメラを止めるな!』の場合、ヒーローものや時代劇、はたまたTBSの人気ドラマ『半沢直樹』などのような超悪役が出てきて、それを大掛かりに倒すのではなく、何人かの小悪党を小刻みにやっつけていくスタイルである。

それも実社会に、「こういう人、いるいる!」と感じさせる小悪党だ。無理難題を押しつけつつも、作品にこだわりのないプロデューサーは、どこにでもいる上司や取引先。監督や共演者との議論ばかりしているこだわりの強い俳優には「ゆとり世代」の若手、そして、「自分は構わないが事務所が」という口実で演出に複数NGを出す女優には、世渡り上手でわがままな人が重なる。

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