資生堂、インバウンド熱狂の渦に見えた死角 スキンケア品に次ぐ「収益柱」を育成できるか
まさに“絶好調”の一言に尽きる決算だった――。
8月8日、資生堂は2018年12月期中間決算を発表した。売上高は5325億円(前年同期比12.8%増)、本業の儲けを示す営業利益は711億円(同2.05倍)と、大幅な増収増益を達成した。
これを受け、会社側は通期の業績見通しを上方修正。売上高を1兆0330億円から1兆0900億円(前期比8.4%増)に、営業利益を900億円から1100億円(同36.7%増)にそれぞれ引き上げた。
スキンケア製品が好調
牽引役となったのが、「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポ―ボーテ」など、8つのプレステージブランドだ。プレステージとは百貨店や化粧品専門店を中心に展開する高価格帯ブランド類のことで、主にカウンセリングを通した販売を行う。
今上期はこれらのブランドで662億円の増収要因となった。特に日本と中国、空港免税店の伸びが顕著だった。売り上げの45%を占める日本では、インバウンド(訪日外国人)の売り上げだけで480億円と、前年同期から135億円も増加した。
ただ一口にインバウンド需要と言っても、すべての化粧品が売れているわけではない。とりわけ、好調なのが化粧水や美容液といったフェイス用のスキンケア製品だ。インバウンド需要の多くを占める中国では、同製品の企業別シェア1位は仏ロレアルだが、資生堂も2位と高い人気を誇る(英調査会社ユーロモニター調べ)。
他方、資生堂が存在感を発揮できていない分野がある。口紅やアイシャドウ、チークといったメークアップ製品だ。中国におけるメークアップ製品の2017年度の市場規模は5711億円。スキンケア製品(フェイシャルのみ)の2兆6966億円に比べると決して大きくないものの、日中化粧品国際交流協会の劉心瑶氏は「SNSでインフルエンサーがメイク動画をアップするようになり、若者によるメークアップ製品の購買が増えはじめている」と話す。
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