ファロウズ夫妻によれば、地方の改革には一定のパターンがある。「地元の有志」が団結して「官民の協力関係」を創り出していること、そして「国政を無視している」ことだ。さらに夫妻が訪れた町には、地ビールの醸造所が必ず1つは存在。地元の人々はこうした場所に集まって活発な議論を交わしているのだ。夫妻の著書は、アメリカには希望があると思わせてくれる。
地方の経済不安はポピュリズムとなってトランプ氏を大統領へと押し上げた一方で、地元の人々が改革に乗り出すという建設的な動きにもつながった。連邦政府に不信感を抱く国民は多いが、地元への信頼はまだ失われてはいない。
10人に7人がニュースに消耗させられている
地方発の改革運動を指して「米国のルネサンス」と呼ぶコラムニストも出てきている。「行動する人々の話を伝えるだけでなく、草の根の活動に参加し盛り上げる」ことを目的に「ネイション・スウェル」という新たなオンラインメディアを起業したグレッグ・ベアマン氏のような人物もいる。「パトリオッツ・アンド・プラグマティスツ」や「全米無党派改革協会」のように、草の根の運動を支援する超党派の政治団体も現れた。
地方メディアを支える新たな資金調達手法も生まれている。カリフォルニア州バークリーのニュースサイト「バークリーサイド」は最近、直接公募で100万ドル(1億円強)を調達。同州海沿いのハーフムーンベイでは住民が公益法人を設立し、地元紙を救った。
アメリカ・ピュー研究所の最近の調査によれば、米国では10人に7人が「ニュースに消耗させられている」と感じている。全国メディアの辛辣な報道を考えれば、当然だろう。だが地方で進む前向きな改革の物語にもっと目を向けることで、負のスパイラルから抜け出すべきだ。
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