「iPhone X」が実は絶好調といえる決定的理由 発売以来、iPhoneの中で販売トップを維持

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このiPhone Agreementはアップルと通信会社との間で、iPhoneの注文数量、iPhone向けプランの提供、下取りしたiPhoneの用途、iPhone購入補助金の4つの取り決めがなされていた。ただ、はじめの3点は拘束力がなく競争阻害と認定されず、またiPhone購入補助金についても補助金なしプランが選べるようになったことから独禁法に違反する疑いが解消されたという。

このiPhone購入補助金というのが、クックCEOがいうところの販売奨励金のことで、ユーザーが一定期間契約することで安く端末を購入できる仕組み。しかし、クックCEO指摘するように、補助金なしのプランが選ばれるようになってきたのだ。

そうした状況に対し、クックCEOは、「常に素晴らしく革新的な製品を送り出さなければならない」とコメントしており、iPhone Xが良いビジネスを展開できたことで、自信を深めた様子だ。

ただし、販売台数から「iPhoneのアクティブユーザーベース」が重要であるともコメントしており、スマートフォン飽和の時代において、iPhoneの「販売台数」に注目しがちな投資家の目先を、異なる指標に移したい考えも透ける。

貿易戦争に対しては、冷静に…

アナリストから出されたもう1つの懸念は、「米中貿易摩擦」だ。クックCEOもコメントしているように、中国では4四半期連続での2ケタ成長を実現し、回復基調を確実なものとした。現在のアップルの中国ビジネスは「総じて極めて良好」と評価している。

その上で、米中が双方からの輸入品に課す関税については「消費者に対する税金」という考え方を示し、「結果として経済の低成長をもたらし、重大なリスクや予期せぬ事態を引き起こしかねない」と不安視した。

鉄鋼やアルミなどを対象としたこれまでの3回にわたる懲罰的な関税は、アップルに直接影響を及ぼしてこなかった。しかし現在パブリックコメントを集めている4つ目の対中2兆ドル規模の関税については、データ送信機器のリストに「Apple Watch」が含まれるなど、中国の国民がアップル製品をより高い価格で購入せざるを得ない状況が迫っている。

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