なぜ今?「ゆりかもめ」が駅名を変える不思議 いっそ「副駅名」のほうが有利な場合もある
副駅名に関しては、ネーミングライツとし広告収入源になるという利点もある。東武鉄道の「東武動物公園」駅は「日本工業大学前」という副駅名とシンボルマークを駅名標に載せた。同駅だけの表記変更で、路線図には反映されない。
話題になった駅としては、銚子電鉄の「笠上黒生」駅もある。頭髪ケア製品のメーカーが「髪毛黒生駅」の看板を立てた。そう考えると、ゆりかもめの青海駅の「ビーナスフォート前」は副駅名として魅力的な案件だ。
ランドマークの最寄り駅を示す例も多い
駅名の変更はとても大きな案件だ。しかし、地域を代表する存在だから、地元の人々も訪れる人々にもわかりやすく、地域の実態に合わせて変更すべきだろう。実際の駅名変更も市町村合併による地名変更に由来する例がある。あるいはとうきょうスカイツリー駅や東京国際クルーズターミナル駅のように、新たにランドマークの最寄り駅を示す例も多い。
茨城県龍ケ崎市はJR常磐線の最寄り駅「佐貫」を「龍ケ崎市」に変更すべくJR東日本と交渉中だ。佐貫駅は地域名の佐貫村が由来だった。自治体の合併の変遷を経て龍ケ崎市となり、駅名変更は地域の願いでもあったという。しかしJR東日本としては看板だけではなく、システム変更などもあるため、駅名変更で3億9000万円の費用がかかる。龍ケ崎市はその費用を全額負担する方針だ。
一方、関東鉄道竜ヶ崎線の「佐貫」駅には改名を求めない。竜ヶ崎線の終点は「竜ヶ崎」駅だから、関東鉄道の佐貫駅を龍ケ崎市駅に変更すると、龍ケ崎市駅から竜ヶ崎駅へ、というややこしい状態になる。JR東日本の竜ケ崎市駅を降りて関東鉄道の佐貫駅へ乗り換えという状態もややこしいけれど、どう解決するだろう。
駅名改称の失敗例は少ないけれども、あまり便利ではなかったという場合もある。日本一長い駅名合戦が良い例だ。鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」駅と、南阿蘇鉄道の「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅は仮名書きで22文字だ。日本一とは縁起がよく、観光ガイドブックでも扱われる。しかし、地域の人々にとっては呼びづらく不便だ。呼びづらい駅から列車に乗る気持ちになるだろうかと心配になる。
長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅で下車し、名の由来となった公園の付近で通りすがりの人に「あそこに見える駅はなんという駅ですか」と訪ねてみた。地元ではどんな風に呼ばれているか気になったが、返事は漢字でわずか一文字。「駅」だった。それで困らないから、正式な駅名を覚えていないようだ。
結論。駅名はわかりやすく、呼びやすいほうがいい。
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