なぜ今?「ゆりかもめ」が駅名を変える不思議 いっそ「副駅名」のほうが有利な場合もある

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改名のきっかけは船の科学館の沖側に整備中の東京国際クルーズターミナルだ。開業予定は2020年6月。駅名変更は2019年3月頃の予定だから、1年以上前に駅名変更が行われることになる。7月9日に駅名変更が発表された理由は、同時に行われた東京国際クルーズターミナルの開業時期の正式発表に合わせたからだ。

東京国際クルーズターミナルは、晴海客船ターミナルを移転する形で開業する。晴海客船ターミナルは1991年から使われている。しかし、世界的なクルーズ船の大型化に対応できなかった。原因は1993年に架かったレインボーブリッジだ。下は東京湾第一航路、上空は羽田空港による高さ規制という条件で、それでも客船クイーン・エリザベス2が通過できる桁下高さを確保していた。

しかし、近年の海外のクルーズ船が大型化し、レインボーブリッジの下を通れず、やむを得ず貨物船や水産用の大井埠頭を使わざるをえなかった。これではクルーズ船の旅行客に対して「おもてなし」に欠けるというわけで、レインボーブリッジの外側、船の科学館沖に新ターミナルを建設することになった。

東京国際クルーズターミナルは東京都港湾局の管轄だし、株式会社ゆりかもめも実質的に東京都の関連会社である。株式会社ゆりかもめの株主は「東京臨海ホールディングス」が99.9パーセントを保有するが、東京臨海ホールディングスの筆頭株主は東京都知事で、東京都管理団体だからだ。東京港の一体的な整備を考えれば、港の命名と駅名の変更は連動して当然といえる。

ただし、実際の変更時期は2019年3月頃だ。理由をゆりかもめに聞くと、「スイカ、パスモのシステム変更に時間がかかるため」とのこと。毎年3月には鉄道各社の新駅開業などもあり、ダイヤ改正、会社間の連絡運輸の変更などもある。ICカード乗車券システムの変更はまとめたいという思惑もあるだろう。

駅名を変更する理由は

国際展示場正門駅を東京ビッグサイト駅とする理由は、「かねてお客様より要望があった」(ゆりかもめ)からだ。株式会社東京ビッグサイトも株式会社ゆりかもめとおなじ東京臨海ホールディングスの傘下である。施設としての東京ビッグサイトは通称で、正式名称は東京国際展示場だ。

しかし、東京ビッグサイトの通称が一般化し東京国際展示場は駅名くらいしか使われていない。施設の運営会社も東京国際貿易センターと東京国際見本市協会を合併する形で株式会社東京ビッグサイトとなった。

国際展示場正門という駅名の変更については、ゆりかもめ利用者と、グループ会社の東京ビッグサイトの要望が強かったという。ただし、駅名の変更には多額の費用がかかるため実行に踏み切れなかった。

次ページ変更は駅名標だけでは済まない
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