65歳の「花火師」が絶対に譲れないこだわり 夏の風物詩、花火大会を支える職人の技
8月に入り、全国各地で「花火大会」が開催されている。地元の大会を観たり、旅行先の観光地で見学したりする人もいるだろう。
日本国内で、どれぐらいの大会が開催されるのか。業界団体・日本煙火協会が公式サイトに紹介する大会だけで約220カ所あり(一定の大会規模や過去の継続性などで独自集計)、地域のお祭りなどを含めると、1000を超えるのではないだろうか。
だが、各地の花火大会の概要は報道されても、花火を打ち上げる花火師については、紹介されることが少ない。そこで今回は、メディアで「日本三大花火師」と紹介されたこともある名人に話を聞いた。花火大会の知られざる舞台裏として紹介したい。
夏の時季は各地を飛び回る
「毎年7月、8月は花火師も最盛期で、週末は各地を移動して花火を打ち上げます。当社の従業員は5人、上は81歳の私の叔母で、下は32歳と33歳の男性。みんな腕利きです。この業界は、花火師になりたい人も多いのですが、意識が高くないと続きません」
こう話すのは篠原茂男氏(1953年生まれ、篠原煙火店代表取締役)だ。長野県須坂市に工場があり、曾祖父から5代続く(祖父の兄も含む)歴史を持つ。過去に新作花火や創作花火で100回以上の受賞歴を誇り、特に日本三大花火大会の1つといわれる「土浦全国花火競技大会」では、4年連続優勝に輝いた名人である。
夏はどのような地域を移動するのか。たとえば今年8月は下記の予定となっている。
・8月5日(日) 「信州上田大花火大会」(長野県上田市)
・8月11日(土) 「常総きぬ川大会」(茨城県常総市)
・8月18日(土) 「赤川花火大会」(山形県鶴岡市)
・8月25日(土) 全国花火競技大会「大曲の花火」(秋田県大仙市)
・8月25日(土) 「須賀川市釈迦堂川花火大会」(福島県須賀川市)
・8月26日(日) 「芝宮神社 御射山祭り」(長野県須坂市)
8月25日はダブルヘッダーで、1日に2大会をこなす予定だ。その翌日には、地元・須坂に戻り、秋祭りの花火打ち上げという強行軍をこなす。
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