自然災害対策と「財政問題」は、分けて考えろ 「赤字だから対策できない」には根拠がない

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財政を理由に災害対策が滞ることは、あってはならない(画像:三田崇博/アフロ)
7月上旬の西日本を中心とする豪雨災害で200人以上が犠牲になり、家屋被害が2万6000棟を超えた。これは平成最大の被害であり、治水の想定を超えたという見解もある。しかし、この被害は、本当に想定外だったのであろうか。
著書『富国と強兵』で国家と財政政策を論じた中野剛志氏が、自然災害と「財政健全化」の関係を論じる。

想定外ではなかった豪雨災害

気象庁によれば、「非常に激しい雨」(時間降⽔量50mm以上)は30年前よりも約1.3倍、「猛烈な雨」(時間降⽔量80mm以上)は約1.7倍に増加している(参考)。

また、国土交通省によれば、過去10年間に約98%以上の市町村で、水害・土砂災害が発生しており、10回以上発生した市町村はおよそ6割にのぼる(参考)。

このように、政府の関係機関は、近年、豪雨災害のリスクが高まっていることを認識していたのだ。しかし、主要河川の堤防整備は未だに不十分な状況にある。

(提供:大石久和・国土技術研究センター国土政策研究所所長)
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