33歳の妻を離婚に追いやった夫と義父の暴挙 女性蔑視の家庭で育った男はDVにも走った

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この結婚は失敗だった――。あんなお義父さんがいるんだったら、絶対結婚なんてしなかったのに――。妊娠までしちゃって、なんて私、バカなんだろう――。

麻美さんは、激しい後悔にさいなまれた。その日は、つわりを理由になんとか日帰りで帰ることを許してもらったが、帰りの電車でも、泣き続けている麻美さんを見て、「どうして泣くの~?」とオロオロする和也の豹変ぶりに、死にたい、と気持ちがどん底まで落ちた。

帝王切開の出産に義父に「根性が足りん」となじられて

麻美さんは、結婚式に人一倍のあこがれを持っていた。幼い頃からのあこがれは、チャペルで真っ白に輝くウエディングドレスを身にまとった花嫁――。

ちまたにあふれる結婚情報誌を見るだけで心躍った。雑誌を部屋の中に積みあげては、式場やドレスに思いをはせる日々が続いた。麻美さんは物心ついたときから、教会式にあこがれていた。バージンロードの色は、何色にしようか、式場はどこにしようか、考えるだけで何時間もの時間が過ぎるのである。

あろうことか、そこにも義父がしゃしゃり出てきた。

「お義父さんの前で、『教会式で、ウエディングドレスがいいと思うんです』と言ったら、『言語道断だ』と返されたんです。『仏式じゃないと、恥ずかしくて親戚に顔向けできん』って。いや、貴族とかならわかりますけど、普通のサラリーマンの家庭なんですよ。結婚式って女の子のためのものじゃないの?と思いましたね。

夫はまったく味方になってくれなかった(筆者撮影)

まったく助け舟を出さない旦那にも腹が立つんです。『お腹の調子が悪い』と言って話し合いの場から、逃げ出しちゃって、40分くらい帰ってこなかったんですよ。そこで取り残されている私は針の筵状態で、最悪でしたね」

結局、結婚式を巡って、義父とは大紛糾。売り言葉に買い言葉で式そのものが取りやめになった。麻美さんが長年あこがれていた結婚式の夢は、潰えた。

「なんでこんなことになったんだろう?」という思いを抱えながらも、お腹は日に日に大きくなる。新婚生活は始まったばかりなのに、麻美さんは、毎日が寂しくて、これからが不安でたまらなかった。それは、これまでの人生で味わったことのないほどの絶望だった。

出産は、すんなりとはいかなった。陣痛が50時間を超えて、母子ともに危険な状態になったのだ。医師の判断で、緊急帝王切開となり、苦しみ抜いた末に、ようやく対面できた娘の顔を見たときは、うれしくて、涙が込み上げてきた。駆けつけた親類縁者も、ホッとした様子である。しかし、そこでも予想もしない義父の言葉が飛び出した。

「ハラキリしたのか! 最近の妊婦は根性が足りんなぁ~ハハハ」

場が凍り付いた、と思ったのは、麻美さんの錯覚だった。和也は、その言葉を聞いていたが、父親に対して何も言い返そうとしない。気まずい空気が流れた。見かねた看護師の女性が困った顔で、「50時間の陣痛は、尋常じゃないんですよ。これ以上は赤ちゃんも、お母さんも危険だからオペになったんです。それは根性とか全然関係ないんですよ」と反論してくれた。

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