北朝鮮の「密輸船」を転がす闇のネットワーク

取扱品はミグ戦闘機からロケット弾まで

一方、エバーブライト88は2016年12月に国連の制裁対象から外れると、すぐさま登記内容を変え始める。北朝鮮の密輸船が取る常套手段だ。オーナーの変更に続いて、この貨物船は2017年7月までに2度、船名を変更。いったんパナマ船籍を取得した後、フィジーへと登記を移転している。

フィジーがエバーブライト88の登記を認め、フィジー船籍を与えたとき、この船はまだ米国財務省の制裁対象だった。にもかかわらず、登記が認められたということは、新規顧客の審査がまともに行われていない国がいまだに存在することを示している。

旧エバーブライト88が復帰する日も近い?

現在、エバーブライト88を所有するのは張氏の関連企業で、従来と同じ密輸ネットワークに深く組み込まれている。ただ、密輸品の内容は武器から石炭や鉄にシフトしたもようだ。国連は北朝鮮の核開発に流れ込む資金を断ち切る目的で、鉱物の密輸も取り締まるようになっている。しかし、専門家パネルによれば、張氏は北朝鮮の石炭・鉄鋼業界と長年にわたって関係を築いてきており、そうしたコネクションを公然と宣伝材料に使ってきた。

国連は具体的な理由を明かしていないが、Fan Keと名前を変えたエバーブライト88は今年3月に再び国連の制裁対象になり、改めてブラックリスト入りすることになる。

2017年を通じて、Fan Keは度々船舶自動識別装置を切っていた。ということは、2016年末に国連制裁が解除された直後から、この船は再び北朝鮮の密輸ビジネスに復帰していたと考えるのが自然だ。

旧エバーブライト88は現在、制裁対象になっているため、ルール上はどこの港にも入ることができず、国際航海を可能とする旗を手に入れることもできない。利用が再び制約を受けるようになっているのは確かだ。

だが、北朝鮮をめぐる最近の融和ムードを受け、国連安保理常任理事国からも制裁緩和を求める声が出てきている。旧エバーブライト88が密輸ビジネスに再び完全復帰を果たす日も、そう遠くはないのかもしれない。

(文:レオ・バーン)

筆者のレオ・バーン氏は北朝鮮ニュースでデータ解析を担当。韓国ソウルを拠点とする。
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