北朝鮮の「密輸船」を転がす闇のネットワーク

取扱品はミグ戦闘機からロケット弾まで

北朝鮮が今も密輸ビジネスを続けられる背後には、中国の暗躍がある(写真:NKニュース)

正体不明の6000トン級貨物船が10カ月ぶりに国際船舶追跡システムに姿を現したのは7月上旬のことだ。中国とベトナムの間の国境付近にある小さな港を出港した後、北に進路を取ったことが確認されている。当初申告されていた行き先は「公海上」。しかし、約1週間後、この貨物船は中国沿岸と朝鮮半島南端の間で再び姿を消すことになる。

場所を特定されないよう断続的に無線機を切っている点を除けば、何の変哲もない船だ。しかし、フィジー船籍のこの貨物船には、北朝鮮に対する国連制裁に違反したことから2度もブラックリスト入りするという前代未聞の前科がある。いわく付きの密輸船なのだ。

密輸船「エバーブライト88」の正体

かつて「エバーブライト88」と呼ばれたこの貨物船(現在は「Fan Ke」と名前を変えている)が最初に制裁対象になったのは2016年。だが、このような恥知らずの密輸船にとっては制裁指定など痛くもかゆくもない。違反を繰り返しても、制裁の重みが増していくわけではないからだ。そして、15カ月後には別の制裁に違反したとして、早くも2度目のブラックリスト入りを果たしている。

本記事はNK News(北朝鮮ニュース)の翻訳記事です

北朝鮮が今も密輸ビジネスを続けられるのは、このように制裁逃れを繰り返す船舶が存在するからだが、その背後では中国が暗躍している。また、いくつかの国は制裁対象に対するチェックが甘く、密輸船に登記を許し、運行許可を与えている。

いわく付きの密輸船がまたもや航海を開始したことで、こうした抜け穴だらけの実態が改めて浮き彫りになった格好だ。

問題の貨物船は、船舶の位置情報を電波で特定する「船舶自動識別装置(AIS)」から10カ月間消えていたが、これ自体は珍しいことではない。国連から制裁を受けている船には、よくあることだ。

ブラックリスト入りしている船舶は本来、どの港からも寄港許可が降りない(もちろん、北朝鮮の港は例外)。また、国連加盟国の沿岸に近づきすぎれば、拿捕(だほ)されるリスクもある。中国などに本気で国連制裁を遵守する意思があったとしたら、制裁対象になっている旧エバーブライト88は北朝鮮に逃げ込む以外に選択肢はなかったはずだ。

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