アプリにできない郵便局独自サービスとは? 民営化から10年、存在意義が試されている

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2007年10月に民営分社化されて、今年で11年目になります。民営化前は国の機関として、お客様のための情報、安心、交流の拠点になろうとした時期もありました。地元の人の交流の場として使ってほしいということで、ピアノ教室、お習字教室、動物の迷子案内などの情報を郵便局内に無料で掲示していました。しかし、残念ですが今では有料になってしまいました。このように、民営化されて変化した部分はほかにもあります。

お客様を「〇〇さん」と名前で呼んでいたのが、今では「〇〇番の方」と番号札で呼ぶようになりました。名前を呼ぶ際も、「さんから様」へと変わり、ほかの金融機関と同じようになりましたが、変わらないところもあります。それは、長い間に築いてきたお客様との信頼関係です。郵便局の利用者の年齢が、ほかの金融機関よりも高いのもそのためでしょう。

コストがかかる郵便局はこれからも必要なのか?

逆に、若い世代の利用者が少ないのはどうしてでしょうか。郵便局は民業圧迫をしないという配慮から、給与預け入れが民間の金融機関から始まり、スタートが遅かったためもあります。5大公共料金の口座払いも、ほかの金融機関よりずっとあとから始まっています。そのころから、働く世代は郵便局ではなく銀行口座を持ち、給与の入る口座をメイン口座にするようになったためです。

冒頭の勉強会に参加された方が勤める山間部の局では、1日に17人ほどのお客様しか来店しません。ほとんどがよく会ういつものお客様です。そのため、お客様の暮らしを郵便局の商品でより豊かにするお手伝いをするのが主な仕事です。勉強に参加していたのはそのためです。

また、1日に切手が5枚しか売れない東北の局や、受け持ち世帯数が200軒と利用者の少ない北海道の局など、こうした局は多数あります。

宅配業者がないある離島では、自宅まで荷物を運んでくれるのは郵便局だけです。ほかの宅配業者は桟橋まで届けてくれますが、自宅までは来てくれません。自分で桟橋まで取りに行かなければなりません。高齢者の多いこの島では、若い人でも車がないと階段の多い坂道を、荷物を持って歩くのは至難の業です。

生産性の低い局も統廃合されずに残っているのは、どんな地域においても、全国一律のサービスを提供するユニバーサルサービスが法律で義務づけられているからです。

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