アプリにできない郵便局独自サービスとは?

民営化から10年、存在意義が試されている

将来不安が増す中で、老後資金の準備をしたいという要望も多くなっています。それに対応するため、今年1月から「つみたてNISA」が始まりました。すべての郵便局で対応しているわけではありませんが、「つみたてNISA」を取り扱っている郵便局に取り次ぐサービスもあります。 

郵便局に来られるお客様は資産運用未経験の人が多いため、郵便局では金融資産のうち余裕資金から将来のための積み立て運用を提案しているといいます。勉強会のメンバーの中には投資信託販売経験者もいるため、資産運用の知識を共有し、社員の指導に当たっているようです。

つみたてNISAは手数料があまり稼げないため、ほかの金融機関で熱心に取り組んでいるところは少ないのです。しかし、運用益非課税の優遇などお客様にとってメリットが大きいので、ほかの金融機関に行きづらい人のために、郵便局が受け皿になれるように、この会のメンバーは知識を幅広く学んでいたのです。

「手数料稼ぎのための商売」はしない

こうした知識の習得の前提としてあるのは、お客様との信頼関係です。それを象徴するのが、民営化前の、横浜市内のある郵便局でのエピソードです。この郵便局の局長は、忙しい仕事の合間を縫って民生委員の仕事もしていました。悩みを持つ方の心のよりどころになっていたのです。郵便局には、局長を頼りに相談に来るお客様がたくさんいました。郵便局は坂の上にあったため、足の不自由な方や忙しくて足を運べない方のために、何か依頼があると、いつも局長自身が出向いて、代わりに手続きなどをしていたのです。

また、小学校の入学式・卒業式、運動会、お祭りなどの行事に招待され、地域の中に溶け込んでいました。地域の方々に頼りにされる、とても気さくで世話好きな局長でした。だからこそ、困ったときには、「局長どうしたらいい?」と相談しにくる人たちがたくさんいたのです。

商品の販売に関しても、手数料稼ぎのために売りつけようとすることなく、問題解決の中で役に立つ商品があれば案内するというやり方でした。営業成績よりも、お客様との関係をなによりも大事にしていました。このようにお客様との信頼関係を築いてきたのです。

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