AIが「弁護士の目」になる日がやってくるのか 契約書レビューAIが法務コストを9割カット

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――どういった経緯でAI-CONの開発に至ったのでしょうか?

今までの法律事務所での経験から、大手企業とスタートアップの契約内容を見ると、大手企業が圧倒的に有利な契約内容が多くて。その知識格差を解決したかったんです。下記のようにNDAでも統計的にみると、非常に不利な条項が入っておりスタートアップの事業を妨げるものも少なからず存在します。
NDAの条文ごとに出現数・出現率をまとめた統計(GVA法律事務所調べ)。知的財産権などの条項は出現率も高く、かつリスクも大きい(写真:Ledge.ai編集部)

スタートアップは弁護士の契約書レビューにお金をかけられず、法律知識が少ない中で自分たちで契約書を作成する場合が多いそう。

たしかに、サービスをどうグロースさせるのかを考えなければ会社が潰れる状況で、法務関係は後回しになりがちなのは事実。

「また、型がある契約書は、若手弁護士とベテラン弁護士のどちらが見てもあまり差が生まれません。そこもAIで効率化すればいいと思ったのも理由のひとつですね」(山本氏)

山本さんによれば、特にNDA(秘密保持契約書)などの型が決まっている契約書のレビューは、若手とベテランでクオリティに差が生まれないんだとか。

しかし契約書なので、しっかりチェックする必要はあります。そうなると、使う時間はあまり変わらずお金だけがかかる……。ここを解決できれば、ベテラン、若手ともにより複雑な業務に取り組む時間ができますね。

AIが契約書チェックの仕事をなくす?

――実際にAI-CONを導入した場合、どの程度業務が削減できるのでしょうか?

厳密に計れてはいませんが、弁護士が今までかけていた半分の時間で契約書のレビューができています。

なんとすでに従来の半分の時間でレビューができるとか。単純に考えても業務効率が2倍になったということで、その分だけ弁護士は他の重要な業務に時間を使えます。

――今後の展開はどうしていくのでしょうか?

「現在はひとつの契約書レビューに1営業日かかっているのですが、2時間で返せるようにしたいですね。
あとは学習データをさらに集めて、自然言語処理で言葉の意味認識の精度を上げること。契約書の条項の内容って統一されていないので、学習データを溜めるのが難しいんです。」

精度を高く、かつ2時間でレビューを返せるようになると世界が変わる、と山本さんは語ります。

6月7日にはスタートアップ・フリーランスに特化した契約書テンプレートを公開したGVA TECH。このテンプレートで契約書を作成し、AI-CONでレビューすることで、ますます学習データが溜まりやすくなります。それによってレビュー精度が上がれば、AIによる契約書レビューの完全自動化も夢ではなさそうです。

(文:佐々木亨)

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『Ledge.ai』編集部
レッジ エーアイへんしゅうぶ

株式会社レッジが運営する「発想と実装の間をつなぐ」がコンセプトのAI特化型Webメディアです。日々発表されるAI関連技術を、実際にビジネスの現場でどの程度、どのくらいの工数で、どのくらいの費用で活用できるのか、という視点で皆様にお伝えします。「Ledge」という単語には、「尖り」や「出っ張り」という意味合いがあります。最先端のAI関連情報を扱うメディアとして、尖った情報を発信していく。そんな思いをこめて、「Ledge.ai」と名付けました。

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