「美人でモテない」女性と「オフィス」の共通点 【特別対談】岩崎夏海×太田彩子

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太田:人材育成や営業コンサルティングの現場からもよく聞く話です。数年前と同じやり方では人も育たず、物も売れないって。

岩崎:ええ。ここ2年くらいで出版のマーケットが激変してしまったんですよ。だから2009年のやり方が、もはや通用しない。

太田:ということは、2009年にドラッカーが求められたように、2013年の今は、ヘヤカツが求められているという確信が、岩崎さんの中に生まれたのですか?

岩崎夏海氏(いわさき・なつみ) 1968年生まれ。東京藝術大学美術学部建築科を卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として数多くのテレビ番組の制作に参加。その後、ゲームやウェブコンテンツの開発会社を経て、株式会社吉田正樹事務所に作家として所属、現在に至る。主な著書は『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』『甲子園だけが高校野球ではない』『エースの系譜』『小説の読み方の教科書』『チャボとウサギの事件』『まずいラーメン屋はどこへ消えた?「椅子取りゲーム社会」で生き残る方法』。

岩崎:少し前に蔵書をスキャンしてタブレットで読む、自炊ブームが起きたじゃないですか。自炊するだけしてぜんぜん読んでないよって笑っている人もいた。じゃあ、なぜ彼らはそこまでして自炊にこだわるのかを考えてみたのです。その答えが、「本棚が減った」という満足感でした。本棚がなくなった部屋を写真に撮って、「こんなに減ったよ」とうれしそうにネットにアップしている状況がそれを表しています。

太田:引き算がよしとされる時代の流れですよね。働く女性の価値観にも近いものがありますよ。がつがつ働いて何が何でも年収1000万円を稼ぎたいというよりは、夫婦合わせて600万円で十分だよね、という流れになっています。また、仕事か結婚かという二者択一ではなく、キレイもキャリアもという両得の時代になっている。

岩崎:そういう流れの中で、部屋がモノに縛られるのではなく、モノに執着しない状態の気持ちよさに、皆が気づき始めていた。そんな実感を強く持てたので、この本の企画に行き着いたのです。

ヘヤカツとは「道を通す」こと

太田:部屋の片付けって、少し前にブームがありましたよね。知人の小松易さんが片付けの本で30万部以上、その後、こんまり(近藤麻理恵)さんの本が100万部以上売れ、旋風を巻き起こしました。

岩崎:ええ、その辺は全部読んでいました。実はその前の『「捨てる!」技術』(辰巳渚・著/刊行は2000年)くらいからずっと追いかけていたテーマだったのです。でも、実際、部屋のモノを捨てるって、なかなかできるものじゃない。本に書いてあるとおり実行できる人は少ないでしょう。

太田:私も、いつか役に立つかもしれないと、つい考えてしまいます。

岩崎:ビジネス書にはいいことが書いてありますが、えてしてビジネス書を読んでいる人が成功した試しはない、などとはよく言いますけれど(笑)。とにかく、こういう読者は自分が成長したいと願っているのに、なかなか成長できない。それはなぜかというと、自分の“内面”に着目してしまうからですよ。

太田:内面を変えようとしてはいけないのですか?

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