日立は通期予想を変更せず ベースアップも「結果出てから」検討

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10月29日、日立製作所は2014年3月期通期での業績予想を据え置き、ベースアップ(ベア)の検討は「あくまでも通期での結果が出てから」になるとした。写真は同社のロゴ。昨年12月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 29日 ロイター] -日立製作所<6501.T>の中村豊明副社長は29日の決算会見で、14年3月期通期での業績予想を据え置いた理由について「今のところ大きなリスクが懸念されることはない」としながらも、中国の金融引き締めや米国の債務上限引き上げ問題などを挙げ、市場環境は「まだまだ予断を許さない」と説明した。

上期の営業利益は前年同期比6.0%増の1734億円だった。従来計画の1450億円を284億円上回ったが、通期の営業利益予想は前期比18.5%増の5000億円と従来計画を維持した。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト20人の予測平均値5229億円を4.3%下回っている。ただ過去最高の5064億円(1991年3月期)とほぼ同水準のため、更新する可能性がある。

また賃金政策に関して、賃上げ水準を底上げするベースアップ(ベア)の検討は「あくまでも通期での結果が出てから」になるとして、賃上げについて「現時点で確定的なことは言えない」と語った。

賃上げをめぐっては、安倍晋三首相が17日、首相官邸で開いた経営者、労働界の代表との政労使会議で経営者に賃上げを要請。会議に参加した同社の川村隆会長が会合後、ベアは「一つの選択肢」などと発言、ベアを含む賃上げ交渉に柔軟な姿勢を示した。

首相は来年4月からの消費増税に合わせて法人減税などの企業支援策を実施するとしており、企業に対して早期に賃上げするよう求めている。トヨタ自動車<7203.T>などと並び、日立は労使交渉で産業界のリード役。年明けから本格化する企業の賃上げ交渉に影響を与えるとして同社の動きが注目されている。

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