さすが、中国や欧州などはそういう対応をしており、右往左往しているのは日本だけですね。これはかなり要注意で、トランプ大統領から「攻めやすい」と思われることは決して特にはなりません。
こういうディールメーカーには「できないことはできない」とぶつけ返すことが大事で、「そっちは無理だけどこっちなら妥協できるかもしれない」というのが最後の落としどころということです。最初からあまりカードを切ってはいけない……ということを私はウォールストリートで大分教わりました。トランプはまさにそういうタイプの交渉相手でしょう。
6日の雇用統計後はどうなる?
最後に6月の雇用統計発表(6日)後のアメリカ経済について展望したいと思います。詳しくはまた書きますが、アメリカ経済が失業率3%台というようなレベルで、賃金の上昇があまり見られないというのは異常事態と言え、少なくともFRBの予測の範疇にはありませんでした。もっと賃金が上がってきて、自動的に利上げを加速させる、という展開を予想していたはずです。しかし、実際賃金の上昇は緩やかで、幸い物価上昇率の方は年内2%に達しそうで、これまでの利上げは正当化できそうですが、ここから先はまた別の話で、非常に慎重になる可能性すらあります。
すでに発表されたFOMC(米公開市場委員会)議事録を見ると、これからの利上げを正当化する意見も多数見られますが、一方で、いわゆる「ナチュラルレート」(正常化した経済における適正な金利水準)はこれまでよりはるかに低いのではないか、という指摘も連銀のメンバーから多数出てきており、その点についての議論はまさにこれから。ですから、議事録だけを見て年3~4回の利上げを織り込み済み、とするのは時期尚早、とわたくしは考えており、実際の適正レートはどこなのか、まさにこれから議論・模索が始まることになりますね。
雇用市場についてはむしろ熟練した労働者の確保が難しくなっている、という事態のほうが深刻で、これも繰り返し書いてきていますが、ここで、妙な移民制限政策を「思いつき」で取り入れた場合のリスクは非常に大きいと言えるでしょう。いずれにせよ、権力者の「思いつき」に付き合うのも楽じゃありません(笑)。
(コラムはここで終了です。競馬予想コーナーは夏期期間中、原則お休みとなります。ご了承下さい)
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