小田急「自動運転バス」で夢見る鉄道新時代

移動から買い物まで「1つのサービス」に

いま国内でいくつかの企業や研究機関が自動運転バスの実用化を目指しているが、SBドライブは実用化に最も近いといわれている。

SBドライブの開発する遠隔運行管理システム「Dispatcher」の画面。運行の状況や車内外の映像などを見ることができ、車内と通話することも可能だ(筆者撮影)

なかでもSBドライブがいま力を入れているのは実証実験だ。同社の佐治友基社長はこう語る。「まずは私有地での低速運転バスなど自動運転バスが運行できる環境から実用化していきたい。これまでの取り組みで低速の自動運転バスにもニーズがあることがわかってきた。また、フランスでは歩行者と低速の自動運転車が混在する環境での実験が1年くらい行われており、低速だからこそ人に受け入れられやすいという部分もある」。

つまり、低速(時速10~15キロ程度)の自動運転バスの実証実験を繰り返し、人々に「安心して乗れる」という実感を持ってもらうことで、公道での自動運転バスの実用化を目指していこうという考えだ。

自動運転の推進に大きなプラス

今回行った慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス構内での実証実験では、最終日の6月10日に「次世代モビリティフォーラム」が行われ、現在のバス・トラック業界の実情や自動運転技術の研究・実験の現状について講演が行われたほか、自動運転バスや次世代型電動車いすなどに一般の人も試乗することができた。

実際に試乗した人に話を聞くと「安全確認がしっかりしているので怖くなかった」「乗っていて違和感があるかと思ったが、普通に乗っている分には自動運転だとはわからないレベルの乗り心地だった」という声が聞かれた。同フォーラムでもSBドライブが今まで行ってきた実証実験で「自動運転」への抵抗を大きく和らげる効果があったという発表もされた。

SBドライブの佐治社長。早期の自動運転バスの実用化を目指し、各地で実証実験を行っていく考えだ(筆者撮影)

SBドライブは小田急グループの規模感にも注目している。小田急電鉄はグループ会社に小田急バスや、今回同時に協定を結んだ神奈川中央交通をはじめとするいくつかのバス事業者を持つ。路線バス業界では、神奈川中央交通は約2100両のバスを保有する東日本最大級のバス事業者でもある。この2社と共に自動運転バスの実証実験・普及推進を行えることは、SBドライブにとって大きなプラスとなる。

佐治社長は「今までの実証実験をやってきたところと大きく違うのは、都市部・観光地・高齢化の進む地域といったさまざまな特徴のあるエリアを1つのグループでカバーしていることだ。それぞれのバスが走っている場所の特徴に合わせて自動運転でできること・求められていることを試したい」と小田急グループならではの沿線環境で自動運転バスの実証実験ができることに期待感を示した。

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