小田急「自動運転バス」で夢見る鉄道新時代 移動から買い物まで「1つのサービス」に

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まだ具体的にどのようにサービスを提供するかは未定の部分がほとんどというが、現在配信されている、運行情報などや列車位置情報を提供しているアプリ「小田急アプリ」を拡張する形で小田急グループの鉄道・バス・タクシー事業者をシームレスにつなぐ案内を徐々に提供していく形も考えられそうだ。

また、さらにはグループ内の商業施設を巻き込んでいくことも考えているという。そうすればどうしても生じてしまう待ち時間の間での買い物までサポートすることとなり、沿線住民と小田急グループがwin-winの関係を構築することができる。さらに先述の自動運転と組み合わせればより高頻度で面的な輸送サービス提供が可能となり、ストレスのない移動が実現するかもしれない。

輸送サービスで沿線価値を高める

ここまで、小田急グループの新たな経営戦略に触れた。この「次世代モビリティを活用したネットワークの構築」は複々線事業の次にある大きな目標としてもとらえることができる。そこにグループを包括する概念として「MaaS」を持ち込み、それを支える技術として「自動運転バス」を支援し、今までの鉄道路線という「線」ではなく、バスも含めた「面」的な輸送サービス向上に努めようという思惑だろう。

首都圏では鉄道事業者による「沿線競争」が近年しきりに言われているが、各社によって得意な分野は異なる。筆者は、小田急グループの強みは複々線事業や社員教育を通じて取り組んできた輸送サービスの堅実な運用と着実な価値向上なのではないかと思う。今回発表された新たな中期経営計画ではこうした強みをさらに生かして沿線価値向上を図ろうとしているように映る。

これは東急グループのような不動産開発によるまちづくりに比べて一見すると派手さはないかもしれないが、沿線に住むことを「快適」に感じてもらおうという意味では変わらない。だからこそ、小田急グループが自社の強みを生かして自動運転バスの実用化やMaaSの提供を行おうとしていることに対しては非常に期待が持てる。今後、小田急の提供する新たな輸送サービスや沿線のまちの姿の変化は要注目だ。

鳴海 侑 まち探訪家

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なるみ ゆう / Yu Narumi

1990年、神奈川県生まれ。大学卒業後は交通事業者やコンサルタントの勤務等を経て現職。「特徴のないまちはない」をモットーに、全国各地の「まち」を巡る。これまで全国650以上の市町村を訪問済み。「まち」をキーワードに、ライティングをはじめとしたさまざまな活動を行っている。最新の活動についてはホームページ(https://www.naru.me/)やX(旧・Twitter、https://twitter.com/mistp0uffer)で配信中。

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