スズキ総会で見たインドへの驚くべき本気度 シェア50%を維持、2030年に500万台狙う

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課題はまだある。インド政府は2030年に新車販売の30%を電気自動車(EV)にする方針だ。その場合、スズキは2030年に150万台のEVを販売しないとシェア5割の維持が難しい計算だ。だが、EVでは従来とは異なるプレーヤーと競争することになるため、これまでのような競争力を維持するのは簡単ではない。

株主総会の会場には2017年12月発売の新型「スペーシア」などが展示されていた(記者撮影)

四輪技術本部を率いる蓮池利昭専務役員は総会で「10年、20年先を見据えた技術開発はたいへん重要だ。EVはモーター、インバーター、電池がすぐに頭に浮かぶと思うが、それだけではできない。EVに合った車両のプラットホームや、EV専用に開発しないといけないものもある。一方でEVだけでなく、エンジンが載った車もまだ多く残る。既存技術もさらに高める必要がある」と話した。

インドでトヨタとどんな関係を構築していくか

スズキは巨額の資金がかかる環境技術開発で業界をリードしているとはいえず、2017年には大手のトヨタと提携。スズキは、トヨタから技術的な支援を受けてインドでEVを生産し、その車両をトヨタにも供給する方針だ。またほかの車種でも相互にOEM(相手先ブランドによる生産)供給する予定であるなど、インドで提携の具体化が進みだしている。ただインドはスズキにとって虎の子だ。今後トヨタとの関係をどう構築していくかも課題になるだろう。

スズキは今回の総会で定款を一部変更。俊宏社長は「チーム経営に移行するために、CEOとCOO(最高執行責任者)を定めないことにした」と株主に説明した。修会長が長い間、そのカリスマ性で引っ張ってきたスズキも新たな時代を迎えようとしている。今後どう大きくし、どう未来につなげていくか。“チームスズキ”を標榜する俊宏社長は難題を突き付けられている。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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