揺れるスルガ銀、総会で噴出した株主の不満 最高値から3分の1、下げ止まらない株価
ある市場関係者は「何が飛び出してくるかわからず、怖くて買えない」と語る。事実、株主総会の招集通知の発送期限が迫った6月6日には、5月15日に発表したばかりの決算を訂正するという異例の事態に追い込まれた。シェアハウス以外の投資用不動産融資を中心に200億円を超える貸倒引当金を追加で計上したためだ。会社計画では、今期は利益が緩やかに回復する見込みだが、「計画達成は難しい」と読むアナリストもいる。
消えた「スルガプレミアム」
ここ数年、地銀株の評価はスルガ銀行だけがPBR(株価純資産倍率)で1倍を上回って突出していた。それが今やスルガ銀行のPBRは0.6倍台と他行並みにまで低下。つい最近まで地銀経営のベンチマークと讃えられてきたスルガ銀行だが、将来を先読みし、また不透明さを嫌う株式市場での評判は地に落ちたかっこうだ。
沼津市在住で20年来の株主という男性は、総会終了後の取材に対し、「岡野会長の経営責任はある。が、会長がやめたらスルガ銀行もダメになるのでは」と複雑な心境を明かした。別の株主も「早く解決して株価を戻して欲しい」と株価への不満を訴えた。
結局、今回の総会では何ら新しい事実は語られなかった。今後の焦点は、第三者委員会の調査結果の公表と、金融庁の検査結果に移る。
第三者委員会の委員長を務める中村直人弁護士は新聞などのインタビューに対して「(顧客や株主など)ステークホルダーの疑問に答えるべく、漏れがないように調べたい」「ガバナンスそのものをみていくつもり」など調査を深掘りする姿勢を示している。結果の公表は8月中となる見込みだ。
経営陣には、まずは調査や検査結果を踏まえたうで、丁寧に説明責任を果たすことが求められている。
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