日産ゴーン会長が株主総会で交わした「約束」 ルノーとの「経営統合」問題に出席株主も注目
ただ、ゴーン氏は同じく会長を務める三菱自の6月22日の株主総会で、「誰から要望があっても、ルノーが日産と三菱自を完全子会社化する可能性はゼロだ」と発言。フランス側主導の関係見直しを警戒する日産や三菱自など日本側に配慮した可能性もあるが、「3社を融合して一部がやる気をなくすようなことはどうしても避けたい」とも述べていた。
総会に出席した川崎市の66歳の男性は3年前から日産株を保有するが、日産の将来に不安を見せる。「日産は日本の会社だし、現状維持がいい。日産を守るとは一応言っているが、何かわれわれが知らないミッションを持っているかもしれないし、本音はわからない」。一方、千葉県浦安市の67歳の男性株主は「ゴーンさんを信じている。日本側主導で関係見直しの交渉が進み、日産株主に不利益にならないならば一緒の会社になっても構わない」と語り、条件次第での経営統合には賛同した。
総会では2018年3月期の役員報酬が報告され、国内屈指の高額報酬として関心の高いゴーン会長は前期比33%減の7億3000万円。一方の西川社長は同26%増の5億円だった。日産によると、2017年4月にゴーン氏が社長から会長になり、西川氏が社長に就任したことを反映しているという。
完成車検査問題に対する厳しい質問も
昨秋に発覚した完成車の無資格検査問題をめぐっては、株主から「誰が責任をとったのか。少なくとも西川社長は報酬面では責任をとったようには見えない」との意見や、日産のCEOを長年務めてきたゴーン会長による明確な謝罪がないことに対して「世間では日産の顔はゴーンさん。きちんと頭を下げるべき」との批判も出た。
無資格検査は遅くとも1980年代に始まり、ゴーン氏のCEO在任期間(2001年6月~2017年3月)も含めて常態化していたとの調査結果が出ている。ゴーン会長は「今の日産のボスは西川。逃げているわけではないが、新しいボスがいるわけだから、その責任を尊重しなくてはいけない」と弁明した。
この問題では、一時は日産の国内全工場における車両の生産・出荷の停止に追い込まれ、国土交通省から業務改善指示などの処分が出された。再発防止策を講じて現在では生産は正常化しているが、一部の株主には依然として日産に対する不信感が残っている現状も浮き彫りとなった。
昨年4月に社長に就任した西川社長にとって、前期は三菱自動車の燃費不正問題や自社の完成検査問題といった不祥事対応に追われた1年だった。問題が収束しつつある今期以降は、日産が重視する「対等な形」で経営統合問題に一定の道筋をつけるのが西川体制に課された重要な任務といえる。
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