日本は独自の対北朝鮮外交を模索するべきだ 安倍首相は「100%米国と共に」と言うが…

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「米朝首脳会談で拉致問題を提起してくれた」だけで米国に期待してよいのか(写真:ロイター/Carlos Barria)

マーライオンと林立する高層ホテルが印象的なシンガポール。米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談(6月12日)を現地で取材した。結果は大方の予想どおり、非核化の問題では曖昧な合意にとどまった一方で、トランプ氏は北朝鮮の「体制保証」を約束するなど北朝鮮ペースの会談となった。米国ではトランプ氏の「人気取り外交」と見通しの甘さが指摘されている。米朝首脳会談を受けて、安倍晋三首相は金委員長との会談を模索するが、北朝鮮の関心は米国に向いており、日朝関係の打開は容易ではない。

米朝首脳会談が「歴史的」であるにもかかわらず、事前には称賛されていなかった。それには訳がある。トランプ大統領、金委員長とも動機が「不純」だったからだ。トランプ氏は、秋の連邦議会の中間選挙を控え、国内で支持率を上げたい。バラク・オバマ前大統領ら歴代大統領がなしえなかった北朝鮮とのトップ会談を実現し、「歴代大統領とは違う」ことをアピールしたかった。金委員長は、核開発による脅しで関係国から経済支援を得たい。2人には、そんな思惑があった。朝鮮半島、ひいては東アジアの平和と安定をめざすといった「純粋」な思いとは、大きくかけ離れていた。

しかし歴史的には、指導者の「不純」な動機がスタートラインだったとしても、良い方向に進む時がある。シンガポールでの首脳会談には、そんな複雑な視線が注がれていた。

トランプ大統領が譲歩している印象は強まった

結果はどうか。地元紙の「ストレーツ・タイムズ」が会談翌日の一面トップに掲げた見出しが、会談結果を言い当てている。
「First step on long road to peace」
米朝の首脳は「平和に向けた長い道のりの第一歩」を踏み出したというのだ。

合意文書によると、焦点の非核化では具体策や時期が明示されず、検証方法なども明らかになっていない。その一方で、米国は北朝鮮の体制保証を確約した。これに対して、米国内では、保守派から「共産主義者に譲歩しすぎ」、リベラル派から「人権弾圧への指摘もない」と、批判が相次いだ。

そんな空気を察知したのか、トランプ氏は会談後、1時間余りも記者会見に応じ、「直ちに非核化の話し合いを始める」「制裁は続ける」などと説明に追われた。ただ、米韓合同軍事演習の中止や在韓米軍の削減にも言及、「米側の一方的譲歩」という印象はいっそう強まった。

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