テスラがこの段階で社員を9%削減する事情 経営構造簡素化の一環

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「今回の人員削減は、近い将来より多くの人員削減が行われる可能性が少ないことを意味する」とCFRAリサーチのアナリスト、エフライム・レビー氏は分析する。さらに、2019年にテスラが早期に増資する可能性があるとも指摘した。

「テスラが第3四半期(7〜9月)と第4四半期(10〜12月)に収益を上げることが出来ても生産増による費用増が多いため、増益は続かないだろう。今回の人員削減は短期間で収益性を達成するのには有益かもしれないが、維持することは難しいと思われる」(レビー氏)。

テスラは製造ラインに投資を続けているために現金を消費しきっているが、クロスオーバー車のモデルYや巨大バッテリー工場であるギガファクトリーなどのプロジェクトへ新たな投資を準備している。

第1四半期(1〜3月)におけるフリー・キャッシュ・フローは、2017年第4四半期(10〜12月)のマイナス2億7700万ドルからマイナス10億ドルまで膨らんでいる。

ウォールストリートのアナリストの中には、第3四半期または第4四半期の収益とキャッシュフロー黒字化のため、資本調達は不要と言い続けるマスクCEOの声明にもかかわらず、今年の資本調達を予想する声もある。

ホームデポで再雇用

テスラによると、人員削減の対象となる従業員への通知は12日に始まり、今週中に実施するとのことだ。

人員削減の結果、従業員数は約3万7000人と、昨年末と同水準になるという。

マスクCEOによると、テスラはホームデポとの住宅販売契約を更新しないことを決定、代わりに自社の店舗やウェブサイトで太陽光発電製品を販売することに重点を置くことを発表した。同社は、解雇するテスラの従業員のほとんどを地域のホームデポ店で再雇用してもらおうとしている。

マスクCEOは5月、従業員に対し、我が社は「徹底的な再編成」を行っていると語った。これは、製造上の問題、シニアスタッフの離職、最近発生した自社の電気自動車事故などの問題に対処するためだ。

4月初旬、同社の株式は昨年9月のピーク時から約35%下落した。しかし、モデル3の生産目標を達成することによって、今年発生する損失のほとんどすべてを一掃できるとしている。

(リポート:サルバドール・ロドリゲス、ラハリ・チャッタージ、ヴィブティ・シャルマ 編集:ソーミャデブ・チャクラバティ、パトリック・グラハム、ニック・ジエミンスキ)

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