歯磨き粉に含まれる「トリクロサン」の危険性 強すぎる殺菌力、がん細胞の成長促進も
日常的に使用される家庭用消費財に含まれる抗菌性・抗真菌性の物質「トリクロサン」が、腸の炎症を引き起こすとの研究結果がこのほど発表された。米月刊誌ポピュラー・サイエンス電子版は、トリクロサンへの接触で大腸がんにかかるリスクが高まることを示唆していると伝えている。
ポピュラー・サイエンスによると調査を行ったのは、マサチューセッツ大学アマースト校の食品科学者らのグループ。調査結果は米科学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版(5月30日付)に発表された。
トリクロサンは多くの製品に使われている
トリクロサンについては、米国では2016年9月、トリクロサン等19成分の殺菌剤について石けんへの使用が禁止された。これを受けて日本の厚生労働省も同年9月30日、米国が禁止を決定した19成分を使用しないようメーカーに働きかける方針を発表している。
しかしそれでも、トリクロサンが使用されている家庭用消費財は多い。サイエンス・トランスレーショナル・メディシンの記事によると、米国でトリクロサンへの接触を避けることは不可能に等しく、歯磨き粉、化粧品、台所用品、おもちゃなど2000以上の製品にトリクロサンが含まれている。
カナダの公共放送局CBCのウェブサイトによると、カナダの場合は液体石けんの75%、固形石けんの29%にトリクロサンが含まれているという。
実験では、研究用のマウス(健康的なマウスのグループや意図的に病気にさせたマウスのグループなど)に、トリクロサンを混ぜた水を3週間にわたって与えた。トリクロサン入りの歯磨き粉を人間が2週間使用した場合に体内に取り込まれるトリクロサンと同じレベルにするためだ。