武田のシャイアー買収反対派が見据える決戦 狙いは「臨時株主総会」での否決
[東京 11日 ロイター] - 武田薬品工業 <4502.T>によるアイルランド製薬大手シャイアー<SHP.L>の買収に反対している「武田薬品の将来を考える会」が、買収のための新株発行を諮る臨時株主総会での否決を狙っている。同会はOBを中心に約130名で構成し、議決権ベースで1%程度の株式を持つ。身の丈に合わない買収は「将来に禍根を残す」として、他の株主に同調を訴える構えだ。
6月28日に開かれる定時株主総会では「1兆円を超える企業買収は株主総会の事前決議を得る」とする定款変更を株主提案している。ただ、同会の幹部はロイターに対し、「株主提案が通るとは思っていない。いかに不合理な買収かを伝えるツールであり、呼び水的な効果を期待している」と述べた。
武田薬の創業家は約10%の株式を保有
同会が照準を定めているのは、年末から年始にかけて開かれる臨時株主総会だ。武田は、買収資金の約半分を新株発行で調達する。新株発行には、臨時株主総会を開き、過半数を定足数とし、3分の2以上の賛成が必要となるため、臨時株主総会が事実上、買収の賛否を問う場となる。
同幹部は「3分の1を集めて廃案にする。まだ半年あるので、一般株主に訴えていく」という。一方で、シャイアー買収決断までのクリストフ・ウェバー社長の経営手腕は評価できるともしており、経営陣の刷新などは視野に入れていない。
関係者によると、武田薬の創業家は約10%の株式を保有しており、一部は、シャイアー買収に反対しているもよう。武田の株主構成は、18年3月末時点で、国内機関投資家31%、海外機関投資家35%、国内個人投資家25%などとなっている。
同幹部は、武田薬のシャイアー買収については、7兆円という身の丈を超えた巨額買収であり、武田の財務リスクが高まることなどを懸念、反対を表明している。さらには、中外製薬 <4519.T>が開発した二重特異性抗体の血友病治療薬「ヘムライブラ」が承認され、シャイアーが主力とする血友病治療薬の売り上げが大幅に減少、減損処理が必要になる恐れも出ているという。
武田薬の株価の11日終値は4291円で、買収検討を表明した3月下旬以降で2割超下落しており、株価の大幅下落には、株主も敏感にならざるを得ない状況が続いている。
(清水律子)
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