私の現場には3人のマネージャーが存在する。恐怖のSP軍団と呼ばれ、常に鋭い眼光で周囲を威圧。ひと言余計で敵の多い小倉の安全を守っている。スポーツで鍛えた頑丈な体は、最も背の高いKが193センチ、Uが183センチ、一番小柄なSでも181センチだ。その立派な体を張って、事務所の大黒柱を支えることが彼等の重要な任務である。緊急時には盾となって、実弾を受けてくれるだろう。多分……。
実際に理想と現実にはギャップがある。特に、ゴルフのプレイ中は、私が視界から消えるらしく、時にはシャンクしたボールの標的にされる。明らかに狙っている? 節もあるが、業務の遂行上、私は口をふさぐ。近頃は車の運転とゴルフとでは疲れるため、マネージャーに同行してもらう機会が多い。だから、なるべく事を荒立てず、おとなしくしているのだ。
通常、世のタレントは往復だけ彼等に身を委ねる。マネージャーはスタートを見送り、18ホールが終わる頃に、クラブハウス前で車と共に待っている。しかし、私は昔からマネージャーを待たせることが苦手だ。休みの日に運転を頼むくらいなら、自分でハンドルを握る。それが嫌なら、一緒にプレイしたほうが、よほど気が楽なのだ。だが、マネージャーといえど家庭があり、自分の生活がある。私のためにすべてを犠牲にさせてはならない。したがって、せめてもの罪滅ぼしに、クラブをプレゼントし、プレイ代も負担する。
ところが、若さあふれる巨漢のSP軍団の上達には目を見張るものがある。とりわけ193センチのKは、300ヤード以上のドライバー・ショットで私を愕然とさせる。高校時代はサッカーのディフェンスで全国級だったらしい。ゴルフを始めた3年前は、8番アイアンで170ヤード、ドライバーで330ヤードは飛ばすものの、右や左にOB連発。やみくもに突っ走って、ボールが何個あっても足りないゴルフだった。そんなKも今は満振りをやめ、抑えるスイングをするようになって、大幅なスコア・アップを果たした。先日は、同じフルバックでプレイをさせたところ、たっぷり7000ヤードはあるコースを85で回ってきた。私は後半で盛り返し、やっとの思いの82。これから先はどうなるのか本当に楽しみだ。
ただし、ゴルフはそんなに甘くはない。今のように、自分の持ち味を殺し、守りのゴルフをやっていたら、先の成長は望めないような気がする。身長を生かした攻めのゴルフができるようになれば、さらに一段上にいくだろう。それには時間がかかる。週に何回も練習場に通い、OBを恐れないゴルフを身に付け、ゴルフの際はSP職を忘れることだ。それと、カットで球を上げ、止めるアプローチを覚えたようだが、一辺倒では数カ月後には重症のシャンクになる。早く独り立ちして、ゴルフで私を超える日が待ち遠しい。
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ! 』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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