ツイッターは「ヘイト」の連鎖を止められるか 米国外の最重要市場、日本法人トップに直撃

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――ユーザーの目に入る「不快なツイート」が減ったと。

明確なポリシー違反は取り締まってきたが、あいまいなものへの対応は今までなかったため、これまではヘイトがヘイトを生み、助長するようなところがあったと思う。今回の非表示化はあくまで一つのテストケースであり、今後グローバルにどう導入していくかは何も決まっていない。これが完璧な方法だとも思っていない。ただ、多少でも効果が見えた部分はあった。

笹本裕(ささもと・ゆう)/1988年獨協大学法学部卒業後、リクルート入社。その後MTVジャパンや日本マイクロソフトなどの要職を経て、2014年2月からツイッタージャパン代表(撮影:尾形文繁)

表現の自由を担保しつつ、ヘイト問題に対峙するのにふさわしい方法を見つけるのは簡単ではない。今後も健全性を高めるために、あらゆる改善・改良を加え、ぜひ早い段階で皆さんに納得していただけるようなサービス体制を築きたい。

――昨年ごろからアカウント凍結の数や、それに関するユーザーの声が大きくなっている印象です。

確かに実数として(アカウント凍結は)増えている。多くは、複数アカウントの不正運用に関する措置だ。ツイッターでは一定のルールの下で複数アカウントの使用を認めているものの、APIを通してアプリを作り複数アカウントから同じツイートを何回もするようなスパム行為は禁止している。その取り締まりを本格的に始めたため、凍結も増えた。

アカウント凍結の基準に疑問の声も

アカウント凍結の理由を説明する通知画面(画像:Twitter)

これ以外にもアカウント凍結に至るケースはさまざまあるが、直近では、どういった理由で凍結になったかを本人にメールで知らせる機能を追加した。「この表現がNG」と具体的に言いすぎると回避策が生まれてしまうので、たとえば「過度に暴力的な表現なのでNG」とか、大枠で知らせる。昨年来、「なぜ自分のアカウントが凍結されたのかわからない」という問い合わせが増えたことを受けて対策を行った。

ツイッターはサービスの拡大とともに、社会的責任もますます拡大している。ヘイト撲滅だけでなく、フェイク情報の撲滅や自殺防止など、やるべきことは多い。一つひとつ、取り組みをブラッシュアップしていく。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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