ツイッターは「ヘイト」の連鎖を止められるか 米国外の最重要市場、日本法人トップに直撃

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――特に需要が高い広告のプランはありますか。

1年半ほど前から提供している「ファーストビュー」という広告枠だ。1日1社限定の掲載で、ツイッターのアプリを開いた際、必ずタイムラインのトップに表示されるもの。その日に発売される新商品、その週に開催されるイベントなどの告知に重宝されており、日本では連日ほぼ枠が埋まっている。グローバルに展開する広告商材だが、日本でのニーズの高さはずば抜けている。

ツイッターのアプリを開いた際、トップ画面に必ず表示される広告枠「ファーストビュー」(画像:Twitter)

――ただ、ネット広告の出稿先として圧倒的な存在感を誇るのは、世界でも日本でもフェイスブックです。ツイッターがここまで差をつけられてしまったのはなぜでしょう?

要因は2つある。まず全世界で見ると、フェイスブックは強力なリーチ(たくさんのユーザーに広告を届ける力)を持つ。そもそもネット広告は「効率よくリーチを買う」という考え方が基本なので、この差は大きい。さらにフェイスブックは年代や性別など、多種多様な属性でのターゲティングに強みを持つ。これも従来のマーケティング手法の延長で考えれば、とても魅力的だ。

一方で、僕らツイッターは、フェイスブックに比べると商売が下手なのかもしれないが……。(米国の)上場企業なので、もちろん収益は追い求めなければならない。だが最も重要なのは、ツイッターとしての特徴やバリューを損なわずに独自の新しい広告価値を提供し、ビジネスを拡大することだと思っている。

ツイッターには正直な感情が集約されている

――ツイッターならではの広告価値とは?

年齢や性別ではなく、興味・関心を軸にしたターゲティングだ。ツイッターのユーザーの皆さんは、いわゆる”リア充”な着飾ったものではなく、自分のストレートな気持ちを発信する傾向にある。つまり、ツイッターは正直な喜怒哀楽や欲求がいちばん集約されている場所といえる。

従来のマーケティングの王道は、年齢や性別などターゲットの属性を想定し広告企画を立てることだったが、最近は変わってきている。特に若年層になればなるほど興味・関心やライフスタイルは多様化しており、「この属性の人は皆これが好き」と単純にくくることはできなくなった。

ツイッターでは、ユーザーの興味・関心のシグナルをつかむことができる。自動車の購入を検討している人は、自動車メーカーのアカウントをフォローしたり、自動車関連のことをつぶやいたり、関連ワードで検索をかけたりする。そうしたシグナルをデータとして蓄積・分析し、適切なターゲットに広告を配信できるのがツイッターの強みだ。

特に米国には新しいマーケティングの潮流に敏感な企業が多く、出稿先としてツイッターを指名してもらう機会が増えてきた。ネット広告市場で確固たるポジションを築くのにはまだ時間がかかるかもしれないが、日本でも確実に需要を掘り起こせるはずだ。

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