ビジネスホテルの「全客室禁煙化」は進むのか 「コンフォート」が達成も各社対応にばらつき
アパホテルは約3万7000室のうち、6割強を禁煙化。現在、喫煙可能なのは約1万4000室で全体の4割弱だ。ただ、2017年2月に開業した「アパホテル 新富町駅北」は同社初の全室禁煙ホテルになった。その後も「京都駅北」、「浅草 雷門」、「御堂筋本町駅東」など少しずつではあるが、全室禁煙ホテルを増やしている。
「レジャー需要の高い日では禁煙室の予約が埋まりやすい傾向にあるが、ビジネス需要の高い日は喫煙室の予約が埋まりやすい傾向にある」(アパグループ)という。
「ホテル椿山荘東京」などを運営する藤田観光の「ワシントンホテル」では、土日などの繁忙期に加え、外国人の利用増加に伴い「禁煙室の希望が増えており、改装により禁煙室を増室しているホテルもある」(同社)。「新宿ワシントンホテル」や「関西エアポートワシントンホテル」を大規模改修した際に、2~3割程度禁煙室を増室した。
ルートイングループは、宿泊特化型の「ホテルルートイン」の約3割が喫煙可能で、7割が禁煙になっている。最大手・東横インは「地域性や客層などを加味し各ホテルで禁煙室数を設定しているので、割合は一概にいえない」と回答した。
今年3月に閣議決定された健康増進法改正案では、ホテルのロビーや宴会場などでの喫煙を全面禁止と定めている(これまでは受動喫煙防止が努力義務とされていた)。ただし、国会の混乱によって法案の可決が見通せない状況だ。
客室は規制の対象外
一方で、客室には規制はない。「客室は自宅と同じプライベートな空間なので、法律での規制はそぐわない」(厚生労働省健康局健康課)。ホテルのほうで自主的に禁煙・喫煙可能を分けて対応しているのが実態だ。
ホテルにとって、客室を禁煙とするか喫煙可能にするのかは悩ましい問題だ。たばこのにおいは壁紙や空調機器に残るため、フロアごとに禁煙・喫煙可能を分ける必要がある。
コンフォートホテルは首都圏だけではなく地方都市にも多く展開しているが、「禁煙化でセールスに大きな影響は出ていない。喫煙者でも客室はきれいなほうがいいからと、全室禁煙で選んでくれる顧客もいる」(大塚取締役)という。
今回取材に応じた、東横イン、ルートイン、アパ、藤田観光は一様に、顧客の動向を見ながら客室の禁煙・喫煙を決めてきたいとしている。
はたして全室禁煙化の流れは加速するのだろうか。当面は喫煙可能な部屋の需要がまったく消えることは考えにくく、ホテル各社の全室禁煙化への「逡巡」はしばらく続きそうだ。
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