外国人が日本人の薄い権利意識に呆れる理由 「WHYジャパニーズピーポー」!?
たとえば、健康保険制度です。病気になり治療を受ける場合、健康保険の適用範囲内であれば、自己負担が3割であること。また1カ月に支払う医療費には高額療養費制度という上限があること、さらに健康保険組合であれば、付加給付により実際に負担する医療費はさらに引き下げられること。こうした情報に、彼らは非常に貪欲です。
もちろん長期療養の際に、日本人の同僚が「とりあえず有給消化で」とすることは、彼らには信じられません! 有給は課税されるし、社会保険料も引かれる。一方、傷病手当金については「社会保険料は通常どおり負担となるものの非課税だし、有給を病気で使ってしまうと、旅行など個人的なイベントで使うことができなくなるから、ここは分けて利用すべき」など、理路整然と言います。
国の年金制度もしかりです。日本に住む20歳以上の方は国籍にかかわらず日本の年金に加入しますが、年金には老齢年金のほか、障害年金、遺族年金の役割があることをとても興味深げに話を聞かれます。外国籍の方であっても「ねんきん定期便」が届きますから、筆者はご相談を受ける際に必ずおもちいただくのですが、「ねんきん定期便」に記載されている情報から、万が一亡くなったときの遺族年金、働けなくなった際の障害年金、これからの年収により変動する老齢年金を、数字を用いて説明をすると、本当に真剣にメモをとります。
自分の収入に対する考え方がシビア
なんといっても厳しい競争社会に身をおいていますから、自身の収入に対する考えが非常にシビアなのです。したがって、自分自身に対する評価(給与)から何が引かれ(控除項目)何の目的で、さらに義務を果たしている自分にはどんな権利が行使できるのかを、知りたいのです。
もちろん相談者のすべてが65歳の老齢年金受給時まで日本に滞在するわけではありません。したがって老齢年金を受給することなく母国に帰る人も多いのです。中には、日本とその人の出身国との間に社会保障協定が結ばれておらず、いわゆる払い損となる方もいるのですが、それでも日本の年金制度は「保険」であるという意義は、しっかり理解してくれます。そして必ず、公助である国の制度がこの程度あるから、自助である自分自身で加入する民間保険はどの程度必要なのか、あるいは不要なのかといった判断も自分でします。
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