千葉で投げ売り?マンション販売に異変 活況に沸く不動産業界に大きな懸念

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増税後の購入がお得?

反動減の兆しが現れていない理由について、東京カンテイの中山登志朗・上席主任研究員は「セールストークの切り替えの速さ」を指摘する。検討中の客に「9月末までに買わないと、消費税が8%に上がってしまう」と説明していた営業マンが一転、10月に入ると「消費税が8%になると住宅購入支援策が拡充されるので、実は今買ったほうが得」と吹聴しているのだ。

すでに政府は消費増税による負担増への対策として、住宅ローン減税の拡充と「すまい給付金」の導入を決めている。みずほ総合研究所の試算では、消費税率が8%の時点で住宅を購入すれば、6割の世帯が増税前よりも有利になるという。

こうした政策効果もあり、不動産経済研究所では10月の発売戸数を例年並みの3500戸と予想。同研究所の福田秋生・企画調査部長は「9月までに比べるとペースは落ち着くが、安定的な需要を維持していると見るべき」と解説する。

だが一方で、反動減よりも深刻で構造的な問題が頭をもたげ始めている。その震源地が千葉県だ。

マンション分譲コンサルティング会社トータルブレインが、JR総武線沿線(市川─稲毛間)で12年以降に売り出されたマンションの販売状況についてヒアリング調査したところ、全体の47%に当たる10物件が「苦戦している」と回答した。

千葉県内では11年の東日本大震災をきっかけに、液状化の懸念や原発事故に伴うホットスポット問題が浮上。マンション販売は大きく落ち込んだ。風向きが変わったのは、震災の記憶が薄れ始めた昨年夏ごろ。全334戸が即日完売した「プラウド船橋一街区」を皮切りに、千葉では大手が主導する大規模物件が相次いで供給され、首都圏のマンション市場回復を牽引する形となった。

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