米民主党がブチ上げた「雇用保証」とは何か 政府が働きたい人の雇用を保証する大胆策
米国で、「雇用保証」の提案が注目を集めている。「働きたくても仕事が見つからないすべての人に対し、連邦政府が雇用を保証する」という大胆な提案だ。2020年の大統領選挙への出馬を目指す民主党の政治家たちが続々と支持を表明している背景には、共和党のドナルド・トランプ大統領への巻き返しを目指す民主党の思惑がある。
「すべての働く意欲がある人は働き先を見つけられるべきであり、わたしたちは社会として雇用の尊厳を尊重すべきだ」と述べる民主党のコリー・ブッカー上院議員は、米国でにわかに注目が集まっている新たな経済政策を正式な法案として提案した人物で、2020年の大統領選挙への出馬が有力視されている。
ニュージャージー州選出の同議員は、ウォール街の金融業界との主張の近さが指摘されるなど、どちらかといえば中道派の議員。そのブッカー議員が、連邦政府の規模を一気に1.5倍に拡大するようなリベラルな提案を行っているところに、雇用保証への注目度の高さが表れている。
リベラル陣営もこぞって追随
ブッカー議員だけではない。同議員が4月20日に提案した法案の共同提案者には、大統領選挙への出馬を狙う政治家が目白押しだ。そのなかには、ニューヨーク州選出のカーステン・ギリブランド上院議員や、カリフォルニア州選出のカマラ・ハリス上院議員といった、中道派の議員が含まれている。
リベラル派も負けてはいない。リベラル陣営の雄であり、やはり次の大統領選挙への出馬がうわさされるマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員は、ブッカー議員が提案した法案の共同提案者に名を連ねている。前回の民主党の予備選挙に出馬し、国民皆保険制等のリベラルな主張でヒラリー・クリントン元国務長官を追い詰めたバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は、独自の雇用保証案を用意しているといわれる。主義主張の違いを超えて、民主党の有力政治家が、競うように賛意を表明しているのが現実だ。
すでに述べたように、雇用保証とは、「働きたくても仕事が見つからないすべての人に対し、連邦政府が雇用を保証する」ことを目指す政策。民主党系のシンクタンクである予算・優先政策センター(CBPP)が発表したモデル案では、すべての米国民が職に就けるように、連邦政府が雇用を提供する仕組みが提案されている。実際に提供される雇用は、州・地方政府などからの提案により、それぞれの地域の事情に合わせて決められるが、あくまでも政府として雇い入れる形式であり、民間企業の雇用を補助金で支えるわけではない。
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