結局のところ「米朝首脳会談」は実現するのか 失敗の歴史を振り返る

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石炭や鉄鋼、海産物などの禁輸措置を含めた、北朝鮮に対する国連経済制裁の強化を米国が主導。トランプ大統領は11月、韓国の国会で演説し、対話を求めるならば、北朝鮮は非核化に向けた行動を取らなければならないと述べた。また、2008年に解除されていた北朝鮮のテロ支援国指定を再導入した。

韓国の平昌で開催された2018年冬季五輪は、北朝鮮が代表選手団を派遣するなど、大きな転換点となった。

「極めて尊敬すべき人物だ」

そして3月、トランプ大統領と金委員長は、史上初となる米朝首脳会談の開催で合意。北朝鮮は、ミサイルと核兵器の実験を凍結すると表明し、トランプ氏は過去に罵り合った金氏のことを「極めて尊敬すべき人物だ」と称賛した。

トランプ大統領は10日、米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで行われるとツイートで発表した。

北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)の核実験場を今月解体するとして、その詳細な計画を公表している。

2010年ー2016年、対話の崩壊

2010年3月、北朝鮮が黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)付近で韓国海軍の哨戒船を沈没させたことが、対話再開の障壁となった。同年11月、北朝鮮が韓国延坪島を砲撃し、兵士2人が死亡したことを受け、緊張状態はさらに悪化。北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議の再開を呼びかける中国に対し、韓国、米国、日本は、関係改善が先だとして拒否した。

2011年には、中国やロシア、米国が、それぞれ個別に交渉再開に向けて動いた。だが12月に北朝鮮の金正日総書記が死亡。息子の金正恩氏が後継者として権力を掌握した。

北朝鮮がミサイル技術の前進を見せ、追加の核実験を行った2013年には関係国の懸念が高まったが、交渉は再開されなかった。オバマ前米政権は、北朝鮮への制裁を強化した。

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