日立・三菱重工が挑む「原発輸出」のジレンマ

英国政府の支援拡大は日立への福音なのか…

これまで同プロジェクトに対し、日英政府は支援姿勢を表明してはいた。が、条件までは固まっていなかった。今回の会談では英国政府は約2兆円の融資を保証する方針を示したとされる。ただ、これでプロジェクトを進めていいかというと、そう単純ではない。

現状、ホライズンは日立の100%子会社である。ホライズンが子会社だと原発の機器納入を含む建設事業は連結決算では内部取引のまま。収益計上が認められないだけでなく、バランスシートが膨れ上がる。

カギを握る電力料金が見通せない

建設は日揮や米ベクテルとの合弁で行う方針だが、主体が日立である事実は変わらない。建設費用の超過リスクから日立は逃れようがないのだ。

このため、従前から日立は最終的な投資実行には「ホライズンをオフバランス(非連結化)にするのが条件」(西山光秋・最高財務責任者)と明言してきた。

両国政府が企業連合を組成し、3分の1ずつ出資する案が検討されている。とはいえ本当に出資企業が現れるのか定かではない。というのも、事業性のカギを握る電力料金が見通せないためだ。

英国には原発導入を後押しするために、発電した電力を固定価格で買い取る制度がある。安定的な電力料金を保証されれば、巨額投資の回収予見性は高まる。

先行する別の原発プロジェクトは1000キロワット時当たり92.5ポンド、35年間で契約されている。これは契約時での卸電力価格の2倍以上の水準だった。その差額は電力利用者(英国民)が負担することになるため、政治問題化してしまった。

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