出産後、夫婦の「所得差」が2倍になる理不尽 米国も日本と似たようなものだった

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しかし、2000年代になるとこの傾向は変化した。夫婦間の所得格差は、子どもが高校に入るくらいになっても大きく、女性は夫との所得格差を縮めつつあるようには見えない。その理由は明らかではない。

考えられるのは、1990年代のほうが景気がよかったこと、女性の就労が近年横ばいであること、あるいは、子どもを産む年齢が少し遅くなり、キャリアの全盛期と重なっていることなどだ。

低所得女性と高所得女性の差

収入が低く、教育水準も低い層のほうが、夫婦間の所得格差は小さい。しかし、子どもが12歳になる頃には、教育水準が低い女性の所得格差は、より教育水準が高い女性と同程度になる。その理由としては、低所得の女性たちは、子どもが生まれた後に仕事を辞める傾向が大きいことが考えられる。

これとは対照的に、所得の高い女性たちは、子どもが小さい頃のほうが所得格差が大きい。というのも、彼女たちは失う収入も大きいからだ。

「女性が休暇を取ったり、仕事のペースを緩めたり、小さな企業に移ったりすると、本当に大きな所得を逃すことになる。一方で、その夫は大きな所得を得る」。なぜなら、夫のほうは休暇を取ったり、仕事を変えたりしないからだ。こう話すのは、ハーバード大学の経済学者のクラウディア・ゴールディンで、彼女の研究でも同様のパターンが示された。

出産後に夫との所得格差が最大だった層は、逆説的ではあるが、出産前に夫より所得が多かった女性たちだ。

経済学者なら、夫婦が家計に関して合理的に考えて労働分担をすれば、こうはならないと言うだろう。しかし、この結果は、女性が経済において大きな役割を担うようになっても、家庭における性別分業がいかに凝り固まったものであるかを、これまでの研究と同様に物語っている。

(執筆:Claire Cain Miller記者、翻訳:東方雅美)

© 2018 New York Times News Service

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