出産後、夫婦の「所得差」が2倍になる理不尽 米国も日本と似たようなものだった

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夫婦間の所得格差は、子どもが1人生まれるごとに大きくなる。格差が縮まり始めるのは、子どもが10歳くらいになってからだ。しかし、多くの女性の所得が、夫の所得の水準にまで達することはない。

一つ驚かされる点は、米国の調査結果と、家庭に手厚いとされるスカンジナビア諸国の調査結果がよく似ていたことだ。双方の経済政策と家族政策は非常に異なっているのに、双方とも女性の所得は子どもが生まれた後に急減する。スカンジナビア諸国には、国の政策の一環として有給の産休や育児休暇があるが、米国政府はそのような制度は設けていない。

産休・育休期間はどのくらいが適切か

有給の産休や育児休業を提供しないという政策と、非常に長期間の有給休暇を提供するという政策、その両方とも、女性が働かなくなることにつながるのかもしれない。研究によると、数カ月くらいの中程度の長さの休暇が、女性が仕事を続けるうえでは理想的だという。

サンドラーは言う。「中間点があるように思える。仕事を辞めずに済む程度の長さがあり、同時に、労働力から外れるインセンティブが生じるほど長くはない期間だ」。

研究では他の政策案も示された。女性が再び労働力に加わるためのプログラム、仕事をする時間と場所の柔軟性、子どもの保育のための補助金などだ。また、子どもが生まれた後に男性が休暇を取ったり、育児により多くの時間を使ったりするのも効果があるという。

年代別に見ると、夫婦間の所得格差が最も大きかったのは、1980年代に子どもを持った夫婦だ。1990年代には格差は小さくなったように見えた。1990年代に第1子をもうけた女性は、夫より所得は少なかったものの、子どもが5歳の頃には格差は縮小し始め、14歳の頃には格差は元に戻った。

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