iPhone「アルミボディ」が遂げる異形の進化 「環境にやさしいアルミニウム」とは?

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今回の酸素を排出するアルミニウム製造実用化の取り組みのきっかけを作ったのは、アップルの技術者、ブライアン・リンチ、ジム・ユーコ、ケイティー・サッサマンの3氏だったそうだ。

彼らは世界中の企業や研究所などから環境負荷の少ないアルミ精錬技術を探しており、2015年にアルコアのこの技術に目をつけた。アルコアは早期実用化に向けたパートナーを探しており、アップルを通じてリオ・ティントも参加することで協力関係が始まったという。

環境への取り組みと将来の製品

ちなみに米国企業でアルミニウム生産世界3位のアルコアと英豪の資源メジャーで世界1位のリオ・ティントは、カナダの同じくアルミ生産企業アルキャンの買収を巡り火花を散らした間柄だ。世界1位、3位の企業が新たなアルミニウム精錬方法を採用することが、この分野における急速な環境負荷の軽減につながることは言うまでもない。

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カナダは地形を生かした水力発電による電力が利用できることから、電力が生産に欠かせないアルミニウム生産を再生可能エネルギーで行う上で重要な地域となる。アップルは自社の電力使用を100%再生可能エネルギーに転換しているが、アップルが部品を調達するサプライヤーの製造に関しても、同じ事をしようとしているからだ。

酸素を排出するカーボンフリーアルミニウム技術の実現をカナダを中心に展開する事は、カーボンフットプリントの提言と製品製造の再生可能エネルギーへの転換の双方に作用することを意味するのだ。

この技術による生産パッケージが販売されるのは2024年頃だという。またアップルは前述の通り、資源の再使用による新しい製品製造のサイクル確立も目指している。

またこれらのことを考えると、アップルは当面、主要製品に対してアルミニウムを活用した製品デザインを維持しようとしていることがわかる。同じ金属を使い続けることは、将来的に、再生金属での製品作り実現への道筋を付けることになるからだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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