セイコーは非情?被災店切り捨て炎上の内幕 熊本の老舗は、なぜ告発ツイートをしたのか
熊本の震災では、まだ仮設住宅で暮らしている世帯も残っており、店舗の建て替えが終わるまで待ってほしいという告発ツイートだけをみれば、批判的な意見が拡散されて炎上するのは当然といえるだろう。ツイッターのような短文投稿型のソーシャルメディアは、細かな背景情報などの説明がない。そのため短絡的な結論として伝わりやすいからだ。
なぜ、この告発ツイートは削除されたのか。セイコーウオッチの広報担当者は、細かな経緯については話せないと断ったうえで「ソフィ・タカヤナギを担当してきた社員が直接ソフィ・タカヤナギに赴き、震災以来2年間になされてきた2社間でのやり取りを振り返り、事実関係の確認を行ったところ、先方に納得いただきました」と話した。
一方、ソフィ・タカヤナギの高柳隆大社長に問い合わせたところ、削除の理由を以下のように答えた。
「われわれにとって大切な方々から、状況を心配する電話やメッセージ、中には実際に来店されてのご心配と応援、労りのお声まで数多く頂戴致しました。皆さまにご心配をお掛けしてしまい、本当に申し訳なかったという思いを痛感するとともに、これ以上お世話になっている皆さまがネット上の有象無象のさまざまな情報に惑わされ、さらなる心配を広げたくなかったためです」
この話し合いによって認定取り消しが撤回されたわけではないので、ソフィ・タカヤナギは「切り捨て」を受け入れた、ということである。
「認定ショップ」とは何なのか
いったい、この両社はなぜもめたのだろうか。それを知るためには、認定ショップについて知っておく必要がある。
高級腕時計は単価が高く、販売後の継続的なメンテナンスも必要になる。そのため一定の基準を満たした認定ショップ以外には商品を卸さない。これはセイコーウオッチだけでなく、ほとんどの高級腕時計ブランドが自社ブランドを守るために行ってきたスタイルである。
また、小売店のイメージを高める目的だけのために高級ブランドの”名前借り”をされてしまうことを排除するため、買い取り在庫と販売本数(金額)の最低ラインを設定される。
高級時計の流通に詳しい関係者によると、高級腕時計の販売マージンは販売店正価の35〜50%とかなり高い。そのため小規模な店舗の場合、高級腕時計を月に数本販売するだけでも十分にやっていける。
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