ウェバー社長「日本のM&Aの成功事例になる」 武田トップが語る「7兆円買収」への自信
――武田のパイプライン(開発候補品)を見ると、承認や販売につながる後期後発品の数が少ない。3、4年後以降の成長が見えないから買収するのではないですか。
いやそうではありません。いま進めている変革を加速するためです。
武田にとっては、研究開発の生産性が問題です。私はこの4年間、研究開発部門の変革を進めてきました。現在の武田の研究開発のありかたは(私が来る)4年前とはまったく違います。治療領域をフォーカスしましたし、研究開発のセンターも日本と米国の2つに置きました。また、開発候補品の4割は、社外のパートナーとの関係から生まれています。
成果は出始めています。たしかに後期開発品は多くないかもしれませんが、前はもっと少なかった。さらに、前・中期開発品は増えています。中長期で会社を成長させていくエンジンは研究開発です。時間はかかりますが、そのエンジンを作ろうとしています。
武田の現在の研究開発体制はシャイアーを阻害しません。むしろ補完します。シャイアーは研究開発で希少疾患に集中し、革新性の高い治療薬を出そうとしています。われわれも同じです。革新性が不十分なものはリストから除外してきた。研究開発の改革の当初は多くのプログラムを中止し、真に革新性のあるものだけに絞りました。
シャイアーの買収によってスケールが生まれ、研究開発へ投資するパワーが増します。
かなり前から買収を検討していた
――シャイアーの買収を検討し始めたのはいつですか。
かなり前からです。がんや中枢神経系のチームが、(導入などに向け外部の)良いクスリを探していました。その中にシャイアーの製品があった。そして、潜在的な買収の可能性を含めて検討するようになりました。
3月27日に(シャイアーを買収する意思があると)ステートメントを出しました。実は、その時点でメディアの報道とは逆に、当社のボード(取締役会)はすでに買収交渉に入ることを承認していました。大きな宿題は終えていたということです。買収検討の最初の段階から、ボードメンバーは議論に参加していました。交渉を始める前にボードの承認を得ることはとても大事なことです。
――反対や疑問を持つ取締役を説得するなど、ウェバーさんがイニシアティブを発揮したのですか。
私は押しつけるタイプではありません。レコメンド(推奨案件)をボードに提出して議論してもらい、私はその意見を聞くようにしました。もちろん、私は買収に賛成でしたが。
日本ではまだ珍しいですが、武田のボードメンバーは社外の取締役が多数を占めます。買収するのが適切だとの結論を得るまでに、ボードでは相当な時間をかけましたし、分析も十二分にしました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら