スタジオアリスが少子化でも増え続けるワケ 47都道府県で展開、子ども向けのシェア6割

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一方、写真館事業は「利益率が非常に高く、恵まれた業界。設備投資はある程度かかるが、客数さえ伸びれば儲かる」(写真業界関係者)。それゆえに新規参入が目立つが、その多くは撤退に追い込まれている。「顧客は撮影しているときの雰囲気などエンターテインメント性も含めて利用している。人材など、目に見えない部分がまねできそうでまねできない理由だろう」(同)。

売り上げの4割を占める七五三

近年はスマートフォンが普及し、搭載されているカメラ機能もかなり洗練されている。川村社長は「かつてはカメラが高価だったから写真館に行っていた。その後、安価なカメラがどんどん出てきたけれど、アリスは伸びてきた。スマホも同じ」と述べ、ハレの日に写真館に行くという行為に、顧客が価値を見いだしていると強調する。

リピーターを増やすべく、アリスも0〜1歳の赤ちゃん撮影を増やそうとしている(記者撮影)

他方、「正月にしめ縄をつけた車を見掛けなくなったように、お宮参り、お食い初め、七五三といった日本の行事が廃れていくのは怖い」(同)。実際、アリスの売上高の約4割を七五三が占めており、この商機をきちんと取り込めるかどうかが業績を大きく左右する。

とはいえ、単価が何万円もする撮影をしたいと思う人を、さらに増やすのは容易ではない。アリスの客単価は平均3万円ほど。店舗数が一定規模に達し、出店地域が限られてくる中、今後は少子化の影響がより顕著に出始める可能性がある。

あるライバル企業も「店舗数は飽和状態に近いと思う。今後は大人の取り込みやリピーターを増やしていく必要があると思う」と話す。

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